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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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8/10「ニコニコ野球」

この夏も、甲子園球場で高校球児たちの熱戦が繰り広げられています。
その歴史の中で「ニコニコ野球」と今も語り継がれるのは、20年前、昭和63年夏の大会に出場した埼玉県代表の浦和市立高校です。

49の代表校の中でチーム打率、平均身長とも最下位。加えてチーム三振数は最多。
間違って甲子園に来てしまったような、普通の公立高校チームが、あれよあれよと勝ち進んでいきました。
ノーマークの学校が、甲子園に来てからいきなり実力を発揮し、強豪校を倒していくのは、そんなに珍しいことではありません。
でも、思いがけない快進撃以上に浦和市立高が異彩を放ったのは、プレーする選手たちのチームカラーだったのです。

打っても打たれてもニコニコ。
野球をやっていること自体が楽しくて楽しくて仕方がないといった笑顔を見せるのです。
その笑顔の裏には、弱小チームならではの強みがありました。
つまり、負けて元々。だから負けることが怖くない。
気負いもプレッシャーもなく、のびのびと野球を楽しむことができたのです。
監督もまた試合に先立って選手たちにこんなゲキを飛ばしています。
「甲子園は高校球児のお祭りだ。エラーもヒットも全部パフォーマンスだ。いつもどおり、思い切ってやってこい!」

敬遠が当たり前の場面でも、
「一番楽しい場面だ。思い切って勝負しろ」という指示に頷くエースピッチャーは真っ向勝負。
ニコニコしながらも強気の投球でピンチを切り抜けていくのでした。

それでも準決勝戦でついに力尽きた浦和市立。
試合終了後にベンチに駆け戻る全選手が最後に見せたのも、やはり素晴らしい笑顔でした。
そのさわやかな笑顔からは、野球だけでなく、彼らの伸び伸びした高校生活が見えるようでした。