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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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8/17「すべての爆弾を花火に」

この夏、各地で花火大会が開催されています。
新潟県の長岡花火といえば、日本三大花火の一つ。
ここには日本一の花火師といわれる嘉瀬清次(かせせいじ)さんがいます。

日本最大の正三尺玉(しょうさんじゃくだま)やナイアガラは嘉瀬さんが発案したもので、世界各地で開かれる記念式典などでもたびたび打ち上げられています。
嘉瀬さんは阪神淡路大震災の被災者たちを元気づけるために1000発もの花火を無料で打ち上げました。
1988年の新潟県身体障害者スポーツ大会でもやはり花火の打ち上げ代金を受け取りませんでした。
花火を上げるときにせめて嘉瀬さんのお名前だけでもアナウンスさせてくださいと頼まれても、彼は「選手が元気にがんばってくれれば、それだけでよいのです」と頑なに断ったのです。

「花火で人々の心を明るく」いう信念を持ち続ける嘉瀬さんには、ロシアで花火を打ち上げたいという、もう一つの夢がありました。
彼は、第二次世界大戦の終戦後、ソ連軍の捕虜として、3年間シベリアに拘留されていました。
マイナス41度のロシアで過酷な重労働。
仲間は次々と倒れ、6万人以上の日本人が亡くなりました。
ロシアでの花火は、「幸いにも日本に戻ってくることができた自分の役目」と長い間、心の中に持ち続けていた想いでした。

そして1990年、ようやくその想いが実現。
50年ぶりに訪れたシベリアで、戦友たちへ追悼の意を込めて、「白菊」という名の花火を打ち上げたのです。
2年前に長岡市で開かれた「世界の花火ショー」を最後に花火師を引退した嘉瀬さんは現在86歳。
今も抱き続けているのは、「世界中のすべての爆弾を花火に替えたい」という願いです。