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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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1/13 放送分 「南極犬物語その後」

昭和34年1月14日。南極観測隊のヘリコプターが2頭の犬を発見しました。
前の年に、やむを得ない事情で昭和基地に置き去りにした15頭のカラフト犬のうち、タロとジロの兄弟犬2頭が零下40度という厳しい世界で1年間もの間、元気に生き抜いていたのです。
このニュースは日本中の感動を呼び、映画にもなりましたが、生還した2頭は、その後どうなったのでしょうか。

タロとジロは、そのまま南極に留まり、観測隊の仕事を手伝います。
しかし、その越冬中に、残念ながら弟のほうのジロが病気のために昭和基地で死んでしまいました。
一方、タロは、昭和36年に帰国。4年半ぶりに日本の土を踏んだのです。
その後、タロは北海道大学付属動物園に引き取られ、職員たちの愛情をいっぱい受けながら老後を過ごし、昭和45年、静かに息を引き取りました。

南極観測犬としての功績を後世に伝えるために、タロとジロは剥製にされて、それぞれ北海道大学の博物館と東京の国立科学博物館に展示されています。
ところが、「力を合わせて生き抜いたタロとジロの兄弟が離ればなれになっているのはかわいそう」という声が、2頭の生まれ故郷・北海道の稚内から起こりました。
その思いは、「2頭をふるさとへ」という運動となって広がっていきます。
南極で病死したジロの剥製は痛みが激しく、国立科学博物館側はジロを動かすことを拒否しました。
でも、稚内の人々の熱心な働きかけは全国に広がっていきます。

そしてようやく平成9年、稚内で「タロ・ジロ里帰り特別展」が開催されることになりました。
南極で離ればなれになって28年後、2頭の兄弟は、期間限定ながら、懐かしのふるさとで再会することができたのです。