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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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12/30 放送分 「笑顔がいい男」

今年、印象深かった出来事のひとつは、日本の人工衛星「かぐや」が世界で初めてハイビジョンカメラで地球を撮影したことです。
環境汚染が広がる世界ですが、それでも「かぐや」から送られてきた地球の姿は、神秘的なほどの美しい惑星でした。その美しい地球を、初めて人類が宇宙から眺めたのは、いまから46年前です。

その人は旧ソ連の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリン。1961年、ボストーク1号の小さな窓越しに惑星・地球を眺めたガガーリンは、そのあまりの美しい光景にずっと口を開けっ放しの放心状態だったそうで、かろうじてひとことだけ「地球の色は青かった」と地上に感想を伝えています。
世界初の有人宇宙飛行に成功したガガーリンですが、その歴史的な宇宙飛行士をだれにするのかという選考は、とても厳しいものでした。
条件は、身長170センチ以下、体重70キロ以下、健康、一人で状況を判断し決断できる人間というもの。航空士官学校から150人のエリートが選ばれました。そこから徹底した選考が始まります。虫歯があるというだけではねられた者もいます。そして残ったのが20人。今度は彼らに厳しい合宿訓練を課し、その成績から2人の最終候補者を選び出しました。
ここまでくると、もう二人とも甲乙つけがたく、最後の決め手として体重が2キロだけ軽いほうの男が選ばれました。

ところが、ボストーク打ち上げの3日前に、この人選がひっくり返ります。
それは、「もう一人の男の方がいい笑顔をするから」という理由だったのです。
だれもやったことがなく、成功するか失敗するかわからない人類の宇宙への旅立ち・・・そのたった一人の代表を、最後の最後に、身体や頭脳の能力ではなく、笑顔という心の部分に賭けたのです。

そして、その「笑顔がすてきな27歳の男」こそ、ガガーリンだったのです。