TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(11/4 放送分 「車椅子を着せ替える」)
(11/18 放送分 「奇跡のブドウからワインへ」)→

11/11 放送分 「竹楽(ちくらく)の灯り」

「竹を楽しむ」と書いて「竹楽」。滝廉太郎の『荒城の月』で知られる大分県竹田市では、秋が深まると、城下町を2万本の竹灯籠(たけとうろう)が照らす行事「竹楽」が始まります。

毎年、10万人以上の観光客を集めるお祭りですが、目的は観光客の数ではありません。竹田はその名の通り、食用や生活用品をつくる材料となる竹の名産地。ところが近年過疎化が進んだ里山では竹の手入れをする人手がなく、放置される竹林が増えてきました。その結果、繁殖力が強い竹の茎が杉やひのき、田畑にまで広がって被害を与え、山の保水力まで奪ってしまったのです。

里山がこのまま荒れていくのを見過ごすことはできない、と立ち上がったのは、地元の団体や企業、学校などで結成した「里山保全竹活用百人会」。
子供たちも含め、総勢1800人のボランティアが里山の竹を伐採し、運び出したのです。こうして集められた厄介者の竹。それに新たな命を吹き込んだのが竹楽です。伐採した竹を加工して灯籠をこしらえ、それを城下町に飾り、1本1本に火をともす・・・・。これもすべて市民ボランティアの力。竹楽期間中は、近所の人もいっしょになって夕方に2万本の竹灯篭を道に並べて火を灯し、町中を巡回して風で消えたロウソクに火をともし、夜中になったら全部片付けるという、中腰での大変な作業を繰り返すのです。

里山を守ろうとする竹田の大勢の市民たちによって7年前に生まれた新しい祭り「竹楽」。今年は今度の週末、11月16日から18日まで開催されます。
竹灯籠の柔らかく幻想的な灯り、そしてその灯りを支える竹田の人々の思いにも触れてください。