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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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10/21 放送分 「老犬ホーム」

お年寄りの心を癒すために老人ホームで犬を飼っているという話を聞きますが、その反対に、年老いた犬たちの世話する「老犬ホーム」と呼ばれる施設を作った人たちがいます。
北海道の盲導犬協会の人たちです。

盲導犬はおよそ8か月の訓練を終えて、目の不自由な人のために働きますが、10歳を過ぎると老化が早まります。
犬の10歳は、人間でいえば60歳。足が弱まり、目や耳も悪くなっていき、やがては盲導犬としての仕事がきちんとできなくなります。
ところが、そんな盲導犬は自分から「辛いから仕事をやめさせてほしい」と訴えることはできません。
それどころか、飼い主と少しでも長くいたいという思いから、衰えた体を奮い立たせ、無理してでも元気なところを見せようとするのです。

そこで、盲導犬協会では12歳を目安に、犬を引退させることにしました。
引退した盲導犬はふつう民間家庭のボランティアが引き取り、心やさしいファミリーの中で穏やかな余生を過ごすことができます。
でも、何年間も生活をともにした元の飼い主が気軽に会いに来れるようにと、29年前の1978年、北海道盲導犬協会が訓練所の中に日本唯一の老犬ホームを作ったのです。

ここでは専任の担当者が、24時間態勢で犬たちの世話をし、介護をします。
ホームの中は空調設備も整っていて快適。そして犬にとって何より嬉しいのは、昔いっしょに訓練を受けた同級生たちと一緒に過ごせることです。
遠い日の厳しかった訓練を思い出しているのでしょうか、夢見るような顔つきで仲間たちとひなたぼっこをしたり散歩をしたりして、かつての盲導犬たちが穏やかに暮らしています。そんな彼らを一生懸命世話し、温かく見つめるスタッフたちは、顔をほころばせています・・・・。