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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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8/19 放送分 「鵜飼いの絆」

「面白うてやがて哀しき鵜飼いかな」??夏の夜の風物詩・鵜飼い。九州では筑後川で行われています。
鵜飼いというと、「鵜が一生懸命捕まえた鮎を鵜匠が全部吐き出させて取り上げるなんて、ずいぶん可哀想だ」と思う方もいるでしょう。
でも、私たちが見ているのは、鵜飼いが行われるわずかな時間だけ。その陰には、私たちの知らない鵜と鵜匠の世界があるのです。
鵜はもともと野生の鳥。それを人間に馴らすことから始まります。
人間を警戒する野生の鵜は、餌を食べようともしません。
そばに人間がいなくても、与えられた餌はそのまま。こうなると鵜と人間の我慢比べです。
宝石のような瑠璃色の光を放つ鵜の目は、ひもじさに狂いそうになりながら、屈服すまいと人間を睨みつけます。
放っておくと餓死するのは明らか。そこで嘴をこじりあけて魚を押し込みます。
暴れて抵抗する鵜。でも、いったん魚を飲み込んでしまえば、緊張の糸が途切れたように旺盛な食欲を見せ、餌をねだるようになります。
鵜が人間を認めた瞬間。また、鵜匠が鵜のことを可愛いと思う瞬間なのです。
それから3年ほどかけて鵜飼いの訓練がスタート。馴れた鵜に対する鵜匠の愛は深く、訓練ではけっして鵜を叱ることもなく、空腹にしておいて餌で仕込むようなこともありません。
こうやって一人前になった鵜は、魚を捕るという野生本能を満たすと同時に、鵜匠を喜ばせようと懸命に働くのです。
そして、鵜匠の姿が鮎を捕る自分たちのすぐ後ろにいるのを感じることで、安心して鮎を追っていきます。
残り少ない夏の夜、鵜飼い見物のチャンスがあったら、よく見てください。
鵜と鵜匠が、血を分けた間柄のように強い磁力で引き合い、1本の綱でしっかりと繋がれているのが分かることでしょう。