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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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8/12 放送分 「ざしきわらし」

「ざしきわらし」を知っていますか。
座敷の童(わらべ)と書いて「ざしきわらし」。東北の岩手県にいまも伝わる妖怪で、人の出入りがあまりない座敷や天井裏、古い土蔵の中に棲んでいて、子どもには姿が見えても、大人には姿が見えないそうです。

いくつかの小学校では、子どもと一緒になって遊び戯れていたり、夜、白い着物を着た子供が、戸の隙間から教室に入り、机や椅子の間をくぐっては、楽しそうに遊んでいたという話が残っています。
また、ある家が火事になり、火の手がどんどん広がってくるので、慌てた家の人が家財道具を運び出していると、いつの間に現れたのか、見慣れない子どもが一人出てきて、手伝ってくれたそうです。
この不思議なざしきわらしは、どこから生まれたのでしょうか?
こんな説があります。

昔の農家は一家総出で田畑の仕事に追われ、子どものことにそんなにかまってはいられません。
子どもたちも心得たもので、親の農作業の手伝いをしたり、幼い弟・妹の子守りをしたり、遊ぶときは親に面倒を見てもらえない分、周り近所の子どもたち同士、まるで兄弟のように仲良く遊んでいました。
その代わり、地域の子供は地域全体が親となって育てるという意識がありました。東北に限らず、昔の農家は大家族が多く、大勢でいっしょに食事をするとき、一人知らない子どもが混ざっていて、それがいったいどこの誰だか知らなかったりします。だからといって気にすることはなく、よその知らない子でも、その家の子と同じように食事をさせ、その家に泊めてあげることもあったそうです。
なんともおおらかな愛情に溢れた、懐かしい時代の子育て。忘れかけていた日本人の大事な心を思い出させてくれる何とも、ほのぼのとした ざしきわらしの伝説です