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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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7/1 放送分 「勇気」

営業マンが車の中から見た光景です。
車の往来が多い片側2車線での信号待ち。
停車中、わずか30秒程の出来事でした。
大きな二つの影が、車の上を通り過ぎ、歩道に舞い降りました。
見ると、2羽の大きなカラスが何かをつついていました。
よく見ると、つつかれているのは、握りこぶし程の、産まれて数日と思える小さな子猫だったのです。かわいそうに2羽のカラスの容赦ない仕打ちで、子猫は、泣き叫びながらおなかを上にして、ひっくりかえっていました。
そこへ、悲痛な泣き声を聞いたのか、茂みから、よちよちと2匹の子猫が、現れました。おそらく、兄弟であろう子猫を守ろうと、小さいながらも一生懸命爪をたて、怖い顔をして威嚇。自分たちの10倍はあるであろう大きなカラスたちに立ち向かっていました。それでもやめないカラスたち。
すると、10mほど先から、足の不自由なおばあさんが、その様子に気づき、杖代わりの傘で不自由な足を懸命に前へ運びながら近づき、傘を振りかざし、カラスを追い払おうとしていました。

営業マンは、車を降りて助けたいと思いましたが、車が多い都心部の追い越し車線にいた為、助けることもできず、そのまま車を発信せざるを得なかったそうです。その後、つつかれていた子猫や助けようとした子猫がどうなったかはわかりません。でも、ハンドルを握りながら、その営業マンは、考えたそうです。 友達がいじめられても、見て見ぬふりをする子供たち。優先座席の前で、お年寄りが立っていても、平然と寝たふりをする大人たち。「黙って見過ごしたほうがいいと思っている大衆」=サイレンス・マジョリティのことを。そして、自分もひょっとしたら、その大衆のひとりではないかと。

目の前にいる人や生き物を助けてあげたいという素朴な気持ち。そして、その気持ちを行動に移す「小さな心の勇気」が、ひとりの命や心を助けてあげられる大きなことのように思われました。