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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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5/13 放送分 「校長先生のビワ」

この時期、果物屋さんの店先を賑わせるビワ。太陽の黄色に染まった丸い果実は、ジューシーな初夏の味覚です。ビワのブランドといえば、長崎県の茂木ビワが有名です。茂木を本家本元として、今では全国各地で茂木ビワが栽培され、茂木ビワを基に品種改良もされています。
鹿児島市の「平川ビワ」も、そのひとつ。

錦江湾の海と背後の山に囲まれた平川町は、かつては小さな貧しい村でした。
大正3年、その村の小学校に、校長として赴任してきたのが、国生岩右衛門(こくしょうがんうえもん)先生です。
赴任した彼は、家計を支えるために学校に来ない生徒が大勢いることを知って、胸を痛めました。子どもたちが安心して学校に行けるようにしたい。そのためにはどうしたらいいだろう・・・。悩んだ末に、何か特産物があれば、村の暮らしは楽になるのではないか・・?そう考えた先生は、自ら長崎の茂木に赴いて、ビワの苗木を買い込んできたのです。
それを村人たちに渡しながら、庭や垣根にビワを栽培するよう説得。我が家の庭をビワにするなんて、と反対する人たちもいましたが、数年後、大きく丸く実ったビワを味わって、村中が喜びに沸いたそうです。
やがて昭和になると、平川のビワは地域を代表する特産品になりました。
村は潤い、子どもたちが、普通に学校に通えるようになったのは言うまでもありません。
現在、鹿児島市立平川小学校には、国生先生の銅像が建っています。
それも、子どもたちが力を合わせて造った、ちょっと、ぶかっこうなコンクリート像。でも、先生に対する子どもたちの敬愛がひしひしと感じられます。

毎年、入学生には1本ずつビワの苗が贈られます。
それは、国生先生を偲んで毎年行われる、この小学校の伝統の記念行事です・・・・。