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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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1/21放送分 「中村先生」

九州は雪が少ないと思われがちですが、山間部では大雪に見舞われることは珍しいことではありません。佐賀県の背振山系にある北山(ほくざん)小学校は、全校児童50人足らずの小さな学校。雪が降ると子どもたちが雪合戦や雪だるま作りで楽しく遊びます。
ところで、この小学校では、3学期が始まって間もない1月下旬に、この学校だけの特別な行事があります。それは「中村先生を偲ぶ会」。もう40年以上も続く大切な催しなのです。

中村富可男(ふかお)先生。「責任感が強く、やさしい、いい先生でした」と今でも地元のお年寄りが思い出を語る、北山小学校の教諭です。
昭和38年の冬、背振の山に未曾有の大雪が降り続きました。
当時の山里では、各集落から6、7キロの道のりを子どもたちは歩いて通学していました。そこにこの大雪。中村先生は子どもたちの身を案じて、学校から集落まで付き添って送り届けていました。

1月26日。この日も先生は最後に送り届けた子どもの家で火に当たって暖を取り、降り止まない雪の中に再び出ていきました。
向かった先は我が家ではなく、何キロも離れた隣の集落への山道。やはり子どもたちの通学路の様子が心配で調べに向かったのです。
そして、それは村人が見た中村先生の最後の姿となりました。
雪の中から先生の体が発見されたのは数日後でした。

小学校の敷地に建つ碑には、中村先生が遭難する4日前に詠んだ自作の歌が刻まれています。
「休校の知らせを終えて帰途につく 路上の子らはスキー楽しむ」
子どもたちを守ることに身も心も尽くした一人の教師の話が、山里の小さな小学校の歴史に刻まれているのです。