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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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12/10放送分 「湯川秀樹とアインシュタイン」

毎年12月10日、スウェーデンのストックホルムで行われるのは、ノーベル賞の授賞式です。日本人が初めてそのステージに上がったのは、1949年。中間子理論の功績によってノーベル物理学賞の栄誉に輝いた湯川秀樹博士です。
湯川博士の受賞は、敗戦国の日本を再生する希望のシンボルとして、国中が喜びに沸き返りました。

その湯川博士がノーベル賞を受賞する1年前。同じノーベル物理学賞を1921年に受賞したアルベルト・アインシュタインに対面したことがあります。その頃、湯川博士はアメリカの大学で客員教授をしていましたが、彼の研究室にアインシュタインが面会を求めて訪ねてきたのです。
20世紀物理学の巨人といわれたアインシュタイン。その当時、湯川博士の中間子理論はアインシュタインにまったく評価されてなかったといわれています。そのアインシュタインがわざわざ自分を訪ねてくるとは・・・・・・。湯川博士は重い気持ちで来客を迎えました。ところが、部屋に入ってきたアインシュタインはいきなり手を伸ばし、湯川博士の手を力強く握りしめました。驚いたことに、その目には大粒の涙が溢れていました。
20世紀の天才科学者は、肩を震わせながら「何の罪もない日本人を、原爆で傷つけてしまった。許してほしい」。何度も何度もこの言葉を繰り返し、湯川博士に謝り続けました。

原爆はアインシュタインの特殊相対性理論を基に開発されました。
そのことにアインシュタインは重い自責の念を抱き続けていたのです。
その姿に湯川博士は衝撃を受け、科学者である前に人間であろうとするアインシュタインの良心に、心が震える思いをしたそうです。
この出会いを機に、湯川博士はアインシュタインを慕って、共に反戦と核兵器全廃を訴える運動に力を入れるようになりました。科学者として、その前に人間として……