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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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11/26放送分 「室伏選手を変えた出会い」

84メートル86センチ。これは1人のアスリートがもつ日本記録。そして世界歴代3位に輝いた数字です。そのアスリートとは、陸上・ハンマー投げの鉄人・室伏広治選手。
アテネ五輪では金メダルに輝き、今季も8大会で連覇を続けていますが、それを支えているのは毎日の地道なトレーニングです。
練習に練習を重ね、トップアスリートの道を駆け上がっていった室伏選手ですが、そんな彼にもスランプに苦しむことがありました。
それは室伏選手が大学生の頃。どうしても記録を伸ばすことができず、ハンマー投げをやめようとさえ思い詰めたそうです。
そんな室伏選手に「いっしょに練習しないか」と声をかけた人がいます。
それは同じ陸上の槍投げで日本記録をもつ溝口和洋選手でした。
初めてのスランプでワラをもすがりたい心境だった室伏選手は、この誘いに飛びついたのですが、そこで驚いたのは、溝口選手の練習量。ひたすら練習に没頭する室伏選手自身が「半端じゃない」とうなるほど、溝口選手のトレーニングは質、量ともに室伏選手をはるかに超えていたのです。
それを目の当たりにした瞬間、室伏選手は、自分はここまでしかできないという限界をいつの間にか自分で勝手に作っていたことを悟りました。
その後、室伏選手の練習量はいっきに倍増。筋肉が動かなくなるまでのトレーニング。そして、また、そこから始める練習が、普段使わない筋肉を呼び覚ましていったのです。
溝口選手との出会いから10年。2003年にプラハで開かれた国際大会で、室伏選手は、84メートル86センチという、日本人が到達したことのない大記録を打ち立てました。自分で作った壁。その殻に閉じこもった室伏選手の姿を映し出してくれたのが、溝口選手という、同じ陸上競技に生きる仲間とのふれあいだったのです。「いっしょに練習しないか」・・・・。
この素朴な呼びかけは、いまもなおアスリートとして進化し続ける室伏選手の心の中に、特別な輝きで刻み込まれているようです。