10/22放送分 「小さな高原美術館」
熊本県阿蘇の雄大な高原に、小さなかわいらしい美術館があります。
葉祥明(ようしょうめい)阿蘇高原絵本美術館です。
この美術館。美術館を建てるためにこの高原を買い取ったのではなく、高原の自然を残すために買い取って、その一部にこじんまりたてた美術館です。
熊本市生まれの絵本作家:葉祥明さん。幼い頃、実の弟さんである童話作家:葉山祥鼎(はやましょうてい)さんと一緒によくこの阿蘇高原で遊んでいたそうです。光と風、大地と空に心を奪われ、何百回訪れても、自然の壮大さと美しさに惹かれ、阿蘇は兄弟にとって心の故郷になっているとか。ところが、年々自然の丘がなくなってきていることに心を痛め、何とか自分たちが小さい頃から遊んでいたこの丘だけでも残したいと、10年程前、2万坪の敷地を買い取ったそうです。
あるがままの自然の中に、申し訳なさそうに少しだけ人間が歩く小道と休む所をつくり、その自然に溶け込むような心やさしくなる絵を飾る・・・。
そんな小さなお家のような美術館を建てています。絵本から飛び出した生き物たち:リトルエンジェル、はちぞう、ジェイクの名前がつけられた小道や庭・・・・。ところどころにおかれた木のベンチに座り、遠くへ目をやると、有明海や普賢岳も見渡すことができ、空がこんなにも広く大きかったのだと実感します。
美術館の屋根の上の丘に1本の木が見えます、その木は葉さん兄弟が子供の頃からあった木で、樹齢は50年以上。兄弟をじっと見つめてきた1本の木も守りたいという思いでここに美術館をつくり、高原を管理しているそうです。葉さんの絵を見て、この高原をゆっくり散歩すると、心がやすらかになり人間も自然の一部なのだと改めて感じます。
「遠い山々をみつめてごらんなさい その巨きさ(おおきさ)と偉大さ!それに比べれば確かに あなたは小さな一人の人間です しかし、その偉大さに変りはありません」・・・・
葉祥明さんの言葉がやさしく心にしみる場所です。
|