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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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7/9放送分 「まちがいペンギン」

スポーツが大好きな中学生の少女がいました。ところが、ある日突然足を痛めて入院・・・・。精密検査をしたところ骨肉腫だと診断されました。
健康な少女に突然襲った病魔。その治療は、足を切断するという過酷なものでした。幸い、命は取り留めたものの、2年間の科学治療とリハビリが終わって退院した彼女に、以前の輝きはありませんでした。・・・・理屈では分かっているのです・・・・・。世の中には、私なんかより重い障害を抱えた人が、元気に社会で活躍している・・・。でも、毎日楽しく走り回っていた自分の足が失われた現実は、理屈だけで受け入れられるものではありませんでした。「がんばれ!」という周囲の温かい励ましも、彼女の心には空しく響くだけ。こんな私に何をがんばれって言うの?・・・・・・・。

そんなある日、親戚の叔父さんから、お見舞いの品が届きました。
それは、1冊の絵本。主人公はペンギン。
何気なく目を通していた彼女は、ある頁にふと目が止まりました。
空を飛ぶカモメを恨めしそうに見上げるペンギンの絵です。ペンギンは飛べないといわれています。でも、次の頁には、ペンギンが大空を飛んでいるのです。
ただ、その絵をよく見ると、空の片隅に、魚の姿・・・・・・。そう、ペンギンは海の中を飛んでいたのです。彼女はその絵に釘付けになりました。
片足を失って走れなくなった私。でも、発想を変えれば、何かに向かって走ることができる!!
彼女は、自分の治療に献身的に当たってくれた人たちへの感謝の気持ちから、自分も医療の道に進もうと、その時決心したそうです。

15年後・・・。いま彼女は横浜の病院で、看護士として働いています。
年に一度の楽しみは、九州に帰省して、長崎ペンギン水族館に行くこと。
空を飛べなくても海で飛べることを教えてくれたペンギンに逢うためです・・・・・。