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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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10/23放送分 「ハイパーレスキュー隊」

1年前の今日、10月23日は、新潟県中越地震が起きた日です。
そして地震発生4日後、当時2歳の男の子が、長岡市の川沿いで、土砂に埋まった車の中から助け出されたことは、日本中を驚かせ、感動させた出来事でした。その時活躍したのが、東京消防庁のハイパーレスキュー隊。

16名のハイパー隊を指揮した清塚部隊長は、余震が続く危険な状況での捜索で、「岩や土砂が再び崩れたら、手足の1本や2本は折れてもいい。川に飛び込め!命だけは助かれ!」と言っていたそうです。
現場は、頭上にせり出した不安定な岩石と木の枝・・。足を踏み入れた巻田隊長は、「正直言ってこの状況では、人がいても生存は難しいのでは・・」と思ったほどでした。
押しつぶされた車の状況を確認しながら、名前を呼びかけていると、小さな隙間から巻田隊長の耳に、声にはならないかすかな音が届きました。「無線を止めろ!ヘリを遠ざけろ!」。隊長は「生きている!生きている!!絶対に助けるんだ!!!」と自分に言い聞かせました。隊員らと共に、慎重に手で土砂を取り除き、隙間を広げていくと、小さな子供の手を発見しました。車と岩の間の僅かな隙間に入ることを志願したのは、小柄な田端隊員。小さな隙間の中で声もなく、おぼつかなく立っている男の子を見た時は、「一刻も早く出してあげよう!この気持ちしかありませんでした。」と後に語っています。田端隊員から男の子を受け止めた隊員は、思わずぎゅっと抱きしめたそうです。その瞬間、現場の救急隊員らからは、拍手と歓声が上がったといいます。

小さな命を見つけたのは、ハイテクな機材ではなく、隊員の耳と目でした。そして隊員たちの熱い想いとチームワークなしには、これほど小さな命の力強さと尊さを痛感することはなかったでしょう。