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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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7/24放送分 「カブトムシおじさん」

「カブトムシおじさん」
全国の子どもたちにカブトムシの幼虫を送り続けている人がいます。
福岡県久留米市に住む酪農家・内田龍司(りゅうじ)さん53歳。通称「カブトムシおじさん」です。
今から28年前、内田さんは、牛の糞を混ぜて作った野積みの堆肥の中からカブトムシが這い出してくるのを見つけました。そのカブトムシを近所の子どもたちに分けてあげたところ、大喜びされたそうです。以来、乳牛を飼育する傍ら、堆肥でカブトムシにエサ場を提供し、たくさんの幼虫を繁殖させてきました。そして、その幼虫たちを、全くの無償で、小学校や幼稚園・保育園など全国の子どもたちに送り続け、笑顔や希望を与え続けてきました。
しかし、2004年11月、「家畜排泄物処理法」が施行。これにより、堆肥の野積みができなくなり、カブトムシの幼虫が繁殖できない状況になりました。内田さんのもとには、全国の子どもたちからたくさんのお礼状が届いていました。「うれしかった。ありがとう。大事に育てます。来年又ください・・・。」そんな子どもたちのメッセージを見ると、「これからもカブトムシの幼虫を待っている子どもたちがいる・・・。ここで辞めてはいけない!」と思ったそうです。そこで、内田さんは、個人で、「構造改革特区」を申請。今年3月、国から日本で初めて「カブトムシ特区」として認められました。それにより、牛の糞を使ってカブトムシの幼虫を育てることができるようになったのです。
カブトムシの幼虫は、健全なエサを食べた安全な乳牛の堆肥に多く宿るそうです。内田さんは、ご近所から稲のワラを分けて頂き牛に食べさせ、お礼に農家に牛の堆肥を分けて差し上げ農業に活かしてもらっているとのこと。つまり、有機農業にも貢献することから、地域の循環型農業にも役立っています。
一方、子どもたちは、カブトムシの飼育や観察を通して、命の大切さと自然の不思議さを実感しているようです。
内田さんにとっては、何よりも子どもたちが喜んでくれることが、一番の喜びです。
自然にとっても人にとっても、「笑顔の循環」に役立っているカブトムシ特区です。