FM 福岡 FUKUOKA

2026年9月26日放送
「70代男性が亡き妻へ送った手紙」

今年も十五夜の月がきれいだよ。

みっちゃんがいた頃は、こんなふうに月をゆっくり眺める時間なんて、ほとんどありませんでしたね。

平日は、仕事から帰ってくると、お風呂に入って、夕飯を食べて、しばらくしたらバタンキュー。

休みの日も何かと忙しくて、空を見上げる心の余裕はなかったなぁ。

満月の夜になると、「今日は月がきれいよ。ちょっと外に出てみない?」と声をかけてくれたけれど、

「月なんていつでも見られる」と、素っ気ない返事をしたこと、今では後悔しています。

でも、一度だけ、二人で庭に出て、きれいな月を眺めたことがありましたね。

あれは、今夜と同じ、十五夜の月でした。

仕事でいろいろ悩んでいたことを、みっちゃんは察してくれていたのでしょう。

「大丈夫、私がいるから」

ただ一言、そう言ってくれましたね。

何とも言えない気持ちになって、涙をこらえるのに必死だったよ。

昔は見ようとも思わなかった月なのに、

みっちゃんがいなくなってから、よく夜空を見上げるようになりました。

優しい月明りを見るたび、みっちゃんが笑っているような気がします。

ありがとう、みっちゃん。