FM 福岡 FUKUOKA

2026年9月5日放送
「子育てに忙しい30代の娘に宛てた母親の手紙」

元気にしていますか。

毎日、三人の子どもたちのお世話に家事にと、本当にお疲れさま。

さなえに電話をすると、決まって「忙しい、忙しい」が口癖になっているね。

でも、そんな時ほど、ほんの少しだけ足を止めて、虫の音に耳を澄ませる時間を持ってみませんか。

この頃、スズムシやコオロギが鳴き始めました。

その音色に心を寄せて、「秋が来たね」と季節を感じるのは日本ならではの美しい文化です。

平安時代には、美しい声で鳴く虫を籠に入れて、その音色を楽しむ「虫聞き」という風習があったそうです。

また、江戸時代には、夜になるとスズムシを売り歩く「虫売り」が現れ、

人々はその涼やかな鳴き声を家で楽しんだといいます。

いまのように娯楽が溢れる時代ではなかったからこそ、自然の音が人の心を豊かにしてくれたのでしょうね。

さなえは今、毎日が目まぐるしく過ぎていることでしょう。

でも、子どもたちと一緒に夕暮れの庭先や帰り道で立ち止まり、「あっ鈴虫が鳴いてるね」

「コオロギの声が聞こえるね」なんて話す時間は、ほんの一分でも心を優しくしてくれると思います。

「忙しい」は、さなえが頑張っている証拠。

でも、その言葉ばかりを繰り返していると、季節がそっと届けてくれる贈り物を見逃してしまうかも知れませんよ。

お母さんも、夜になると窓を開けて虫の声を聞きながら、「さなえたちも元気かな」と思っています。

また、みんなの元気な顔が見られる日を楽しみにしています。