FM 福岡 FUKUOKA

2026年3月21日放送
「認知症を発症したことを知った妻が夫へ送った手紙」

あなたにも辛い思いをさせてしまって、ごめんなさい。

最近、頭の中に霧がかかったような感覚があったけれど、あなたも気づいていたんですね。

一緒に病院へ行ってくれて、ありがとう。

これから私は、いろいろなことを少しずつ忘れていくそうです。

昨日食べたもの。今日出かけた場所。

そして、あなたと過ごした大切な日々のことも...

それが怖くて、悲しくて、ひとりでたくさん泣きました。

そして、すべてを忘れてしまう前に、この手紙だけは残しておこうと思ったのです。

あなたと一緒に歩くことができた人生は、本当に幸せでした。

不器用なあなたが作ってくれた、焦げた卵焼き...

子どもが生まれた日の、あなたの震える手...

それらを忘れてしまっても、その時に感じた温かさは、きっと心の奥に残り続けると信じています。

これから先、あなたの名前を呼べなくなる日が来るかもしれません。

あなたを見て、分からなくなってしまう日も来るかもしれない。

でも、あなたが覚えていてくれる限り、私たちの物語が消えることはありません。

もし私があなたを忘れてしまったら、 その時は「新しい私」と、また友達になってください。

そして、元気だったころの私のことも忘れないでね。