FM 福岡 FUKUOKA

2025年3月29日放送
「病気を経験した50代男性が妻へ宛てた手紙」

今年ほど、春の訪れが待ち遠しいと思ったことはないよ。

正直言うと、去年、病に倒れたとき、来年の桜はもう見られないかもしれないと覚悟した時期もあった。

幸いにも、こうして仕事に復帰できたけれど、

死を身近に感じることで、これまでの自分の人生を見つめ直すことができたような気がする。

そして、自分にとって何が大切か、気付くことができた。

もし病気になっていなければ…、そう考えるとちょっと怖いくらいだ。

管理職になってからは、本当に忙しくて、精神的にも肉体的にもキツイ日々が続いていた。

特に去年は、桜の花が咲き始めたのにも気づかず、

満開になっても、しばし足を止めて眺める心の余裕さえなくしていたよ。

仕事に復帰して、もちろん働けるありがたさを痛感しているし、感謝もしている。

しかし、本当に大切にしたいのは、やはり家族だ。

自分にとって心豊かで充実した毎日は、家族というベースがあってこそ。

今なら、心からそう思える。

明日あたり、久しぶりにお花見に行こう。

出会ったころのように、満開の桜の花の下を一緒にゆっくり歩きながら、春の訪れを全身で感じたい。

二人で見る今年の桜の花は、きっと最高にきれいだと思う。