2025年3月1日放送
「都会に暮らす20代後半の男性が芋農家を営む父親へ宛てた手紙」
「ああ、そうか」...僕が先日「春から農家を継ぎたい」と電話で伝えた時、
お父さんはそっけなく、そう口にしただけでしたね。
「農業なんて嫌だ」と言って家を飛び出した自分が、どこまで本気なのか信じてもらえなかったかも知れませんが、
自分の決意をきちんとお父さんに伝えたくて筆を取りました。
子どもの頃、面白いことをすると友だちが笑ってくれるのが嬉しくて、
卒業アルバムに書いた将来の夢である「芸人になる」と言って上京してからもう10年です。
しかし、その間は生活のためのアルバイトに明け暮れる毎日で、舞台に上がったのはたったの数回。
当然、お客さんを笑わせることなんてできませんでした。
焦りや不安を抱きながら自分を見失いそうになる中、ある日、お父さんが送ってくれたさつま芋を
バイト仲間たちと一緒に食べていたら、全員が「甘~い」と言って満面の笑みを浮かべていたんです。
人を笑顔にすることの難しさを知った自分にとって、それはとても衝撃的な光景でした。
そして、自分の足元にあったお父さんの仕事が、こんなに人を笑顔にする
凄い力をもっていることにいまさらながら気づかされ、実家に戻りたいと思いました。
僕はいまでも人を笑わせることが大好きです。
春から農家の1年生として、まずは、お父さんとお母さんを笑顔にできる人間になれるように頑張ります。
どうか、よろしくお願いします。
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