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2024年9月21日放送
「亡き父と同じ家具職人となった男性が綴った手紙」

「家具職人は10年修行してやっと一人前」。

親父がそう言っていた10年がようやく経ちました。

まだ自分で一人前だと誇れるほどの自信はないけど...

ただ、かつて親父がつくった家具たちが、それ以前とはまったく違うものに見えるようになりました。

優れた機能性と木目まで計算された美しいデザイン...

そして、例えば扉の内側といった、表からは見えない部分にまでこだわった細かな仕事。

それらすべてを確立することがどれだけ大変で、どれだけ高い技術を必要とすることか。

しかも、親父は同じシリーズの家具たちを、どれも一寸の狂いもなく同じ形に仕上げ、

それを驚くほど短時間でつくり上げていたそうだね。

時間は価格に影響します。

早さと正確さ...そして妥協なき姿勢こそが、

職人の技だということを、親父の家具から学ぶことができました。

もう少し親父から直接学ぶことができていたら...と、いつも考えます。

けど、親父と同じ家具職人としてのスタートラインに立ったからには、そんな弱音は吐かずに頑張るからね。