FM 福岡 FUKUOKA

2024年7月20日放送
「30代の研究者の男性が大学時代の恩師へ宛てた手紙」

山内先生、ご無沙汰しております。

先日、鰻屋さんから漂う香ばしい匂いから先生との思い出が甦り、筆を取りました。

あれは私が4年生の夏のことです。

遅くまでゼミの研究論文をまとめていた私を、先生は「精でもつけるか」と鰻屋さんに連れていってくれました。

そこで「ここの鰻のタレは、継ぎ足し、継ぎ足ししながら半世紀以上も守られているそうだ。

“継続は力なり”なんていうが、その最たるモノがこのタレかも知れないな~」と教えて下さったのです。

当時の私は「へ~」としか思いませんでしたが、研究者となったいま、その“継続の力”を実感しています。

なぜなら研究は、継続しても必ず成功するモノではありません。

ただ何度失敗しても継続することを諦めなかった者しか、成功の美酒を味わうことができないからです。

当時、先生は研究者を目指す私に「鰻のタレであれ」と言われたのかも知れませんね。

そんな指針を授けて下さった先生には、本当に感謝しております。

今度の「土用の丑の日」には、久しぶりに鰻屋さんを訪れて初心に帰ろうと思います。

「贅沢だな、おい」と突っ込まれるかも知れませんが...(笑)、また先生ともご一緒できれば幸いです。

ありがとうございました。