2024年2月3日放送
「和食店を営む男性が長崎の母親に宛てた手紙」
そちらではもうすぐ「ランタンフェスティバル」が始まるね。
長崎にいた頃はライトアップされた街の賑やかな様子にワクワクしたのを思い出します。
ワクワクといえば...先日、いつも帰り際に「美味しかったよ」と言ってくれる常連客が、
「楽しかったよ、また来るね」と、笑顔で帰っていきました。
その言葉を聞いて思い出したのが、子どもの頃、家族で鍋料理を囲んでいた時の記憶です。
毎回、お父さんの眼鏡が曇ってみんなで大笑いしたり、
肉を取られたくない弟が、生煮えで食べようとしてお母さんに止められたり...。
そんな当時のことを、いまでも鮮明に覚えている理由は、
鍋料理が美味しかったからだけでなく、その時間や空間が楽しかったからなんだよね。
常連客のいつもと違う何気ない一言から、
味の記憶というのは、楽しかった記憶と連動して甦るモノだということに気づかされました。
いまプロの料理人となった僕にとって、美味しい料理をつくるのは当たり前のことです。
その上で、訪れた人が楽しくなれる時間や空間を提供することを、何より大事にしていこうと思います。
「美味しい」の先にある「楽しい」を感じてもらえるように...精進あるのみです。
追伸
今年から店では新しく鴨鍋を始めました。
出汁も絶品なので、ぜひ、お父さんと一緒に食べに来てください。
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