2023年10月28日放送
「20代の女性が小学生の頃の恩師へ宛てた手紙」
山本先生、お元気でいらっしゃいますでしょうか。
私は今年の春から先生と同じ、小学校の音楽教員として働いています。
小学生の頃の私は引っ込み思案な性格で、
音楽の授業中、みんなと一緒に声を出して歌うのが苦手でした。
すると先生は、いつも恥ずかしがって歌おうとしない私に、
「人の歌声は、どんな楽器よりも美しい音色を奏でることができる、
この世で一番美しい楽器なんだよ」と優しく声をかけてくださいましたよね。
その言葉に目から鱗だった私は、少しずつ声が出せるようになりました。
極めつきは合唱コンクールで、三声コーラスの美しさに背中がゾクっとする感覚を味わい、
歌うことが大好きになりました。
当時の私からは想像できないかも知れませんが、
中学、高校ではコーラス部に所属し、全国大会に出場できたんですよ。
思い返せば先生は、相手が子どもであっても「大きな声で元気よく」という教え方はせず、
いつも「自分がきれいだと思う声で歌ってごらん」と仰っていましたよね。
そんな先生の個性を尊重する指導方法は、音楽教員となった私にとっての大切な羅針盤です。
音楽の楽しさを教えてくれた先生のように、
私も音楽を通して、子どもたちの豊かな心を育んでいけるように頑張ります。
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