FM 福岡 FUKUOKA

2023年10月21日放送
「老舗ラーメン店の2代目が天国の先代へ宛てた手紙」

急な病で倒れた親父が30年守り続けてきた店を任されてから、この秋で3...

先日、常連客から嬉しい言葉をもらったので筆を執りました。

10年近く親父の仕事を見てきたとはいえ、当初は手探り状態で、

とにかく同じ材料を使い、同じ作り方を真似しながら、必死に一杯、一杯と向き合っていました。

ようやく1年が経った頃、お袋から「お父さんと同じ味になったね」と言ってもらえましたが、

常連客は「まだまだ」の一点張り。どこが「まだ」なのか分からず、悩み続けました。

 しかし、先日、その常連客が初めて自分を「2代目」と呼んでくれたのです。

その理由を尋ねると、「先代と、ただ同じ味を提供するだけでは、2代目の仕事としてはまだまだだ。

先代の味をワンランク上にレベルアップさせてこそ、初めて代を受け継いだと言えるんじゃないか?

なっ2代目」と言って帰って行きました。

それは長年、お客さんたちに愛されてきた味を変化させるのではなく、進化させていくことが、

代を受け継いだ者の使命だと教えてくれる、ひと言でした。

いま自分は、ようやく2代目としてのスタートラインに立てたのかもしれません。

この先も毎日が進化だと思って、研究を重ね、親父の味を本当の意味で受け継いでいきます。

天国から見守っていてください。

2代目店主、隆文より。