FM 福岡 FUKUOKA

2022年8月6日放送
「30代男性が父親に宛てた手紙」

先日、子どもたちを初めて海水浴に連れて行ったよ。

はしゃぐ子どもたちと一緒に海に入りながら、ふと子どものころのことを思い出したんだ。

あれは、確か小学1年生の夏休みだったと思う。

忙しい仕事の合間を縫って、隣まちにある海水浴場まで連れて行ってくれたね。

それまでプールでしか泳いだことがなくて、「海に行きたい、行きたい!」とねだったことを覚えてる。

本当に楽しみにしていたのに、いざ海に入ってみると、波があって思い通りに進めないし、

どれくらい深いのか分からないし…、浮き輪を付けているのに、なんだか怖くなってしまったんだ。

そんな僕の様子に気づいた父さんは、僕の手を引いてずっと一緒に泳いでくれたね。

あの時の父さんの手は、大きくて、力強くて、いつの間にか恐怖心なんて吹き飛んでいたよ。

握っている父さんの手から伝わってきた、言いようのない安心感...

それが急によみがえってきて、気づくと僕も子どもたちの手をしっかり握っていたよ。

父さんからもらったものを、僕もちゃんと子どもたちに伝えることができたかな。