FM 福岡 FUKUOKA

2022年7月2日放送
「30代女性が小学時代に出会った新聞配達のお兄さんへのメッセージを綴った手紙」

あれは、私が小学4年生の時のことだったと思います。

七夕の前日で、学校から戻った私は、玄関の横に立てかけられた笹竹に、

願い事を書いた短冊や、折り紙で作った飾りを吊るしていました。

そこへ、夕刊を配達に来たお兄さんが、七夕飾りを見ながらポツリと言ったのです。

「七夕か...、いいなぁ。こんなの、飾ったことないよ」

私は、どう答えたらいいか分かりませんでした。

お兄さんは多分、高校生くらいだったと思いますが、名前も何も知りません。

でも、あの言葉から、お兄さんは家族のために頑張って新聞配達をしているんだろうなと、

子ども心にも察することができました。

父が山から取ってきた笹竹に、手づくりの飾り。

決して豪華な七夕飾りではないけれど、お兄さんはそこに温かな家族の姿を見ていたのでしょうか。

20年以上たった今でも、七夕が近づくと、お兄さんのことを思い出します。

お兄さんは今、どうしているかなと...。

家族みんなで楽しそうに七夕飾りを飾っている、父親になったお兄さんの姿を想像しながら、

今年も七夕の日を迎えます。