FM 福岡 FUKUOKA

2022年2月5日放送
「40代の女性が天国の祖母へ宛てた手紙」

おばあちゃんと一緒に豆腐に針を刺した日のことを、懐かしく思い出します。

子どものころ、私の服はほとんど、おばあちゃんの手づくりでしたね。

正直言うと、デパートで服を買ってもらえる友達がうらやましかった...

でも、おばあちゃんは流行りの服のデザインや柄を上手に取り入れてくれていましたよね。

雑誌を見て工夫してくれていたって、ずいぶんあとになってお母さんから聞きました。

折れた針や古くなった針を豆腐に刺すことを教えてくれたのも、おばあちゃんでしたね。

感謝の気持ちを込め、最後は柔らかいところで休んでいただきたいという気持ちで、

豆腐に刺すんだって。

おばあちゃんは、道具を大切にする心を私たちに残してくれました。

残念ながら、私はおばあちゃんの器用さを受け継がなかったけれど、

娘はファッションデザイナーになるのが夢だそうですよ。

たっぷりの愛情で身も心も包み込まれていたことが、どんなに幸せな日々だったか、

今になってよく分かります。

久しぶりに今年は、服飾の専門学校に進んだ娘と一緒に、おばあちゃんへの感謝の気持ちも込めて、

針を豆腐に刺そうと思っています。