2021年10月9日放送
「父親の影響で鉄道好きになった20代の青年が父親に宛てた手紙」
10月14日、「鉄道の日」がまたやって来るね。
小学生だった僕に、こんな記念日があることを教えてくれたのは父さんです。
この前、アルバムを久しぶりにめくってみたんだけど、
父さんと僕が写っている写真の背景は、ほとんどが列車か駅だよ。
僕が高校受験で志望校に受からなくて落ち込んでいたときのこと、覚えていますか?
新幹線でも特急でもない、各駅停車の列車に何時間も揺られて、二人で温泉に行ったよね。
父さんに誘われたとき、僕は人生で初めて味わった挫折に、
とても出かける気になんてなれなかったけど、あのときの父さんは強引だったよね。
でも、今振り返ると、よかったって思う。
駅に停まるたびに、いろんな人が乗り降りして、車窓の向こうには段々、
田舎の田園風景が広がってきて...いつの間にか嫌なこと全部忘れていました。
鉄道好きといっても、父さんと一緒で、
ぼくも列車に揺られている時間が好きなんだと気づいたのも、このときです。
温泉につかりながら、父さんが言ってくれた言葉が忘れられない。
「人生は列車の旅みたいなもんだ。景色を楽しむくらいの気持ちがちょうどいいんだよ」
また旅行できるようになったら、各駅停車の列車で温泉に行こうね。
今度は僕が連れて行こう。
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