FM 福岡 FUKUOKA

2021年8月14日放送
「お盆に帰省できなかった20代の女性が母親に宛てた手紙」

お母さん、今年のお盆は帰ることができなくて、ごめんね。

今頃、お兄ちゃん一家もやって来て、にぎやかでしょうね。

みんなのために、張り切ってたくさんの料理を作っているお母さんの姿が目に浮かびます。

お盆といえば、お母さん手づくりのちらし寿司だね。

人参にゴボウ、レンコンにシイタケ、エビ、かまぼこと、とにかく具沢山で、

最後にたっぷりの錦糸卵をのせて完成。

毎年、お母さんは前日からずっと台所に立って、あれこれ下準備をしていたよね。

そんなお母さんを見て、「お寿司とか買ってくればいいのに」と言った私に、

お母さんはなんて答えたか覚えていますか?

「そっちのほうが見栄えもいいし、おいしいかもしれないね。

でも、これはお母さんの精いっぱいのおもてなしなの。

一人ひとりの顔を思い浮かべながら、みんなが喜んで食べてくくれたらいいなと、心をこめて作っているのよ」。

あのとき、私は分かった気がしました。お母さんのちらし寿司が、なぜおいしいのか

ちらし寿司の具が、毎年、少しずつ変わるのは、

きっと食べるみんなの年齢や好みの変化まで考えてくれているから。人を思いやるって、こういうことなんだね...

家を離れてみて、家族のありがたさをしみじみと感じています。

年末には帰るから、おせち、一緒に作ろうね。