FM 福岡 FUKUOKA

2021年6月19日放送
「父の日に50代の男性が父親に宛てた手紙」

父さんへ。

こう呼ぶのは、何十年ぶりかな。

面と向かって伝えるのは照れくさいので、手紙を書くことにしました。

少し前のこと、亮平からこんな話を聞きました。

「親父はきっと知らないと思うけど、じいちゃんはよく、親父の話をするんだよ。

自分に似なくてよかった、立派に成長してくれたって。直接、親父に言えばいいのにね」

うそだろ、と思いました。

父さんはとにかく厳しくて、怖くて、それにいつも仕事が忙しそうで、一緒にどこかに行った記憶もほとんどないし。

その反動からか、自分が父親になったら、子どもとの時間を大切にして、

子どものことを理解してあげようと思ったものです。

でも、父さんなりに、色々と考えてくれてたんだ。実はいつも陰で見守ってくれていたんですね。

今、息子から「親父」と呼ばれる年齢になって、ようやく父さんの気持ちが分かってきたような気がします。

子どもに厳しく接したのも、父さんなりの愛情表現だったのでしょう。

父さんと僕は、どうやって思いを伝えたらいいか、それが分からなかっただけなんでしょうね。

遠回りした分、辿り着いたときの喜びは大きいはず。

そう思って、まず、自分の思いをちゃんと伝えようと、いつもの「親父」ではなく、

子どもの頃に戻ったたつもりで、「父さん」にこの手紙を書きました。

父さん、今までありがとう! これからも、よろしく!