FM 福岡 FUKUOKA

2021年6月12日放送
「10代の妹が兄へ宛てた蛍にまつわる手紙」

お兄ちゃんへ。

昨日はごめんね。急に彼女を紹介されたから、心の準備ができていなくて...

感じのいい人だな~と思ったけれど、笑顔で挨拶できなかった。ちょっぴり焼きもちを焼いたのかもね。

 私が小学3年生のときだったかな。「ほたる祭り」の日のこと、覚えてる?

前日から熱を出して寝込んでしまって、結局、私行けなかったんだよね。

   しばらくして「ほたる祭り」から戻ってきたお兄ちゃんが、

 「ほら」と言って、ティッシュでフタをしたビンを見せてくれて。

   中にいたのは1匹の蛍。電気を消した部屋に浮かぶ、やさしい蛍の光...。幻想的でした。

   まもなくして、お兄ちゃんは、

  「蛍の命は短いからね。元の場所に放してくるよ」と言って、ビンを手に出て行ったよね。

   私のためにこっそり蛍をつかまえてきてくれたお兄ちゃん。

   純粋にうれしかったのはもちろんのこと、小さな命を大切に思うお兄ちゃんはえらいなと、

   妙に感動したことを覚えています。

   お兄ちゃんからは、大切なことをたくさん教えてもらいました。

   お兄ちゃんは、蛍のように、私の心をやさしく照らしてくれる存在です。

   私も、誰かにとってそんな存在になれたらいいな。

 まだまだ手がかかる妹だけど、これからもよろしくね!

 最後に...今度、彼女に会ったときは、私から笑顔で挨拶するからね。