丸善博多店の徳永圭子さんに「旅」をテーマに本を選んで頂きました
今回もコンシェルジュに、博多駅8階丸善博多にお勤めの徳永圭子さんに
お越し頂きました。毎日新刊として入ってくるタイトルは100タイトル!
1月で3000タイトルもの本が丸善さんに入ってきているそうです。
しかし、お客さんの前に出されるのはその半分くらいだそうです。
徳永さんは本を出版されています。
「暗がりで本を読む」
雑誌で連載していたエッセイ「本屋の帰り道」をまとめた本で、
新聞で書いていた書評とエッセイで構成されています。
この本を読んで、びっくりしたのは・・・徳永さんは
「子供の頃 本を読んでいなかった」と言う事。
20数年本屋さんで働かれているので、小さな頃から本が大好きで・・・なんて
イメージを持っていたのですが、就職が厳しかった時に採用してもらえたのが
丸善で、働き出していざお客さんと対面すると、お客さんの方が全然詳しい。
「ちゃんと本を読まなきゃ」と思って本を読み始めたのは、丸善に就職して
しばらくたってからだそうです。
周りがあまりにも本を読んでいた、というのもあって、これは読まなきゃいけないな、
というのがありました。
本屋さんだからって、昔から本が好きではない方もいるんだな、とちょっと驚きました。
って言う事も書いてあるし、
本屋の店員をしている中で見つけたいろんな本を、月に1本ずつ紹介していくと
言うのをやっていたんです。小説だけでなく、新聞記者さんの書いたコラムや
音楽の本、宗教の本とかそういったのも含めて、いろいろな本を少しずつ紹介している
という本です。海外小説が多いかもしれません。
という事でした。是非!
そしておススメの実用書も聞いてみました。
徳永さんおススメの実用書
「風邪とご飯ーひく前ひいた後ー」
風邪をひいた時に何を作ったらいいか?というのがレシピとして載っていますが
徳永さんのおススメポイント1は「本の作りとしてもとても美しい」所。
間に挟まれた文章もとっても素敵で、養生のコツが描かれた文章と共に
レシピが描かれていて、体も大事だけど、心もあったまる感じの本です。
そして今回の本題。「旅」と言うテーマで徳永さんにお願いしていましたが・・・
丸善博多では「旅フェア―」を開催していました。丸善博多のスタッフが、いつかの為に
行きたい所、会いたい人、というテーマで文庫本を選んでお店に並べるフェアでした。
その時にスタッフが紹介してくれたものです。
新生活に良いものを選ぶとしたらこれかな?と言う事で選んで頂いたのが・・・
「スーツケースの半分は」
何が自分を後押ししてくれるか分からない。それはちょっとした偶然だし、どこかからか
急に現れたものっていうのが押してくれるのが いいなーと思って この本をスタッフが
押していました。それを徳永さんに紹介してもらいました。
そしてそのフェアで徳永さんが選んだのが・・・・
「ブルースだってただの唄」
80年代で古い本なんですが「今」なんだなって思ています、
今、分断というか社会的に思想が離れていく、というのは”今”起こっている事ですよね?
この本は、今だからこそ、読まれるべくして必要があって出された本なんだな、
と思ったそうです。
本の世界では比較的そういう事が良くあって、例えば東日本大震災の時もそうだったんですけど
「三陸海岸大津波」と言う、吉村昭さんが書いた小説をすぐに店頭に置いたんです。
するとお客さんから「えーもうこんな本出たの?」とおっしゃるわけです。
でもその本はもっと前に書かれた本だったんです。
本があったし事実もあった。記録も記憶もあった・・・でも人は忘れる。
でも”そういうものがある”と言う物をストックしておいて、で、必要に応じで
お客様の目のつく場所に出してくる。
今、起きたことは突然起きた事のように思えるかもしれないけど
実は過去にもあったんだ。それを人はどう解決したり、どう忘れてしまったり
してきたのか?という事が少しでも伝わればいいなーと
いつも思っています。
本屋を続けていく上では一つの動機になります。
本はメディアとしてはあまりにも地味で、自分が1ページ1ページめくって、目で追って
読まなきゃいけない訳なので、エネルギーがいる。凄く疲れると思うんですけど、
意外とコンパクトでそれだけの量の情報を端的に、言葉だけで伝えてくれるって言うのは
いいメディアであるとも思うんです。そういうことを 少しでも皆さんに手に取ってもらえる中で
分かっていただければいいなーと感じます。
アーカイブ
- 2020
- 2021
- 2022
- 2023
- 2024