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外来種カマキリが在来種に与える「見えにくい影響」
国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学
2026年4月8日
岐阜大学
外来種カマキリが在来種に与える「見えにくい影響」 ― 捕食に加え、“誤った交尾”も生存を左右する ―
本研究のポイント
・日本に侵入した外来種のムネアカハラビロカマキリ(以下、ムネアカ)と、在来種のハラビロカマキリ(以下、ハラビロ)は、幼虫期には互いを捕食し合う関係にありますが、体のサイズが大きい段階ではムネアカが優位になりやすいことがわかりました。
・成虫期ではムネアカのオスがハラビロのメスに交尾を試みる “種をまたいだ誤った交尾”が起こり、その結果、ハラビロのメスが傷ついて死亡する例が確認されました。
・交尾の影響は同じ強さで双方向に起こるわけではなく、ムネアカのメスとハラビロのオスの組み合わせでは交尾は確認されませんでした。
・これらの結果から、外来種のムネアカと、在来種のハラビロでは、捕食と交尾の影響は双方向で同じではなく、在来種であるハラビロ側により強く及ぶ可能性が示されました。
研究概要
岐阜大学応用生物科学部の岡本朋子准教授と土田浩治教授らの研究グループは、外来種ムネアカハラビロカマキリと在来種ハラビロカマキリの相互作用について、幼虫期の相互捕食と成虫期の異種間交尾の2つの側面に注目して調べました。その結果、両種は互いを捕食するものの、幼虫期で体長に差がある場合は、ムネアカハラビロカマキリが優位になりやすいことが分かりました。また成虫期には、外来種オスと在来種メスの組み合わせで交尾がおこり、メスの損傷・死亡につながることが確認されました。逆の組み合わせでは交尾は見られず、外来種の影響が在来種側に偏って生じる可能性が示されました。
本研究成果は、2026年3月30日に昆虫学の国際誌であるEntomological Science誌のオンライン版で発表されました。
研究背景
外来生物は、在来生物と同じ場所で生活することで、餌やすみかをめぐる競争だけでなく、直接食べる・食べられる関係や、交尾行動のすれ違いなど、さまざまな影響を及ぼします。
日本では、ムネアカハラビロカマキリが約20年前に初めて確認されて以降、20以上の都道府県で記録されており、一部の地域では在来種ハラビロカマキリが減少・置き換わっている可能性も指摘されてきました。しかし、両種が実際にどのような形で互いに影響し合っているのか、実験的に検証した研究は、これまでにほとんどありませんでした。
研究成果
本研究では、外来種のムネアカハラビロカマキリ(以下、ムネアカ)と在来種のハラビロカマキリ(以下、ハラビロ)の相互作用を、幼虫期の相互捕食と成虫期の異種間交尾の両面から調べました。その結果、幼虫期には両種が互いを食べあう関係にあるものの、ムネアカの体が大きい場合はムネアカが優位になりやすいことがわかりました(図1)。また成虫期には、ムネアカのオスがハラビロのメスと交尾し、しばしばメスの損傷や死亡につながることが確認されました。一方で、逆の組み合わせであるハラビロのオスとムネアカのメスでは交尾は確認されませんでした(図2)。
これらの結果は、外来種の影響が単なる捕食にとどまらず、繁殖行動の干渉としても現れ、その強さは双方向で同じではなく、在来種ハラビロカマキリ側に偏って生じる可能性を示しています。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202604077030-O1-048941Y6】
図1. ハラビロとムネアカの体長と同齢同士で対戦させた場合の勝率の関係。ムネアカは体長が大きく、同齢のハラビロに勝ちやすい。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202604077030-O2-0E7Ie2OM】
図2. ハラビロとムネアカの交尾実験の結果。ハラビロのメスは交尾による交尾器の損傷が大きく、ハラビロのオスは食べられやすい。
今後の展開
今回の研究は室内実験に基づくものであり、今後は野外において、実際にこうした相互作用がどの程度起きているのか、またそれが在来種の個体数減少や地域的な置き換わりにどの程度関わっているのかを明らかにする必要があります。長期的な野外調査に加え、さまざまな環境での行動観察や生態学的解析を組み合わせることで、外来種が在来種に与える影響をより正確に評価できると期待されます。
論文情報
雑誌名:Entomological Science
論文タイトル:Negative interactions between Hierodula chinensis and the native mantis Hierodula patellifera (Mantodea: Mantidae) in Japan
著者:竹中洋輔(岐阜大学卒業生)、土田浩治(岐阜大学教授)、岡本朋子(岐阜大学准教授)
DOI:10.1111/ens.70010
研究者プロフィール
土田浩治教授と岡本朋子准教授は本学応用生物科学部生物圏環境学科に所属する教員で、それぞれ、昆虫の集団構造の分析、生物間相互作用の解明を行っている。

図2

図1
プレスリリースPDF
https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M106389/202604077030/_prw_PR1fl_uOwxDIVk.pdf
プレスリリースURL
https://kyodonewsprwire.jp/release/202604077030
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