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尿路上皮がんに対する、日本国内で初めてかつ唯一の遺伝子異常に基づく治療薬 バルバーサ®発売のお知らせ
ヤンセンファーマ株式会社
尿路上皮がんに対する、日本国内で初めてかつ唯一の遺伝子異常に基づく治療薬 「バルバーサ®錠3mg」、「同4mg」、「同5mg」発売のお知らせ
バルバーサ®は、PD-1/PD-L1阻害剤を含む治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する 根治切除不能な尿路上皮がんを対象とする日本初のFGFR阻害剤
本承認は、第III相THOR試験の結果に基づく バルバーサ®群と化学療法群との比較で、死亡リスクの36%低下が示される1
Johnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・リーガー、以下「J&J」)は16 日、尿路上皮がんに対する、日本国内で初めてかつ唯一の遺伝子異常に基づく治療薬として、抗悪性腫瘍剤/線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤「バルバーサ®錠3mg」、「同4mg」、「同5mg」(一般名:エルダフィチニブ、以下「バルバーサ®」)を発売したことをお知らせします。
バルバーサ®は、2024年12月27日に「がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮癌」を効能又は効果として承認を取得し、 2025年7月16日に薬価収載されました。
尿路上皮がんは、尿路(腎盂~尿道)に発生するがんであり、膀胱に最も多く認められます2。日本国内における2020年の膀胱がんの新規診断者数は約23,000人、2023年の死亡者数は約9,600人です3。膀胱がん全体の5年相対生存率(2014~2015年)は70.5%ですが、ステージIVとなると17%以下まで落ち3、予後不良ながんです。そして、今回バルバーサ®が適応症として承認を取得したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がんは、これまで治療選択肢が限られており、新たな治療薬が切に求められていました。
バルバーサ®は、国際共同第III相試験(THOR試験)(NCT03390504)のコホート1で、成人のPD-1/PD-L1阻害剤を含む治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する根治切除不能尿路上皮がん患者さんを対象に、その有効性及び安全性が検討され1、その結果に基づき承認を取得しています。本試験において、バルバーサ®による治療群は化学療法群と比較し、主要評価項目である全生存期間(Overall Survival: OS)を統計学的に有意に延長し、死亡リスクの36%低下とともに1、良好な安全性プロファイルを示しました1,4。
国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 医長 松原伸晃先生は、次のように述べています。「根治切除不能な尿路上皮がんに対しては、これまで新たな治療選択肢が求められていました。バルバーサは、これまで治療選択肢が限られていたこれらの患者さんにおいて、全生存期間及び無増悪生存期間を有意に延長することが臨床試験で示された新しい標的治療です。また、尿路上皮癌で初めての遺伝子異常に基づいた個別化治療の抗悪性腫瘍薬であり、適応となる患者さんにとって、新たな治療選択肢となることを期待しています」
J&J Innovative Medicine Japanの代表取締役社長であるクリス・リーガーは、次のように述べています。「バルバーサの発売を機に、私たちは新たに膀胱がん領域に参入します。進行性尿路上皮がんの患者さんは、これまで治療選択肢が限られており、予後も不良であることから、新たな治療法が切に求められていました。私たちは、これまで前立腺がん領域で長年培った強固な基盤を活かし、膀胱がんに対する初めての標的治療薬としてのバルバーサを必要とする多くの患者さんにお届けし、患者さんが直面する課題解決に向け取り組んで参ります。そして、アンメットニーズがいまだに残されている膀胱がん領域に対し、引き続きイノベーションをもたらしていきたいと考えています」
製品概要
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M108680/202507152184/_prw_PT1fl_0rRAllX8.png】
THOR試験について
THOR試験(NCT03390504)は、転移性又は切除不能な成人の尿路上皮がんで、標的FGFR遺伝子異常を有し、前治療である一次治療又は二次治療中もしくは後に病勢進行が認められた患者さんを対象に、バルバーサ®の有効性と安全性を評価する第III相、非盲検、無作為化、多施設共同試験です。本試験は、PD-1/PD-L1阻害剤を含む1又は2ラインの治療後に病勢進行した患者さんに対してバルバーサ®もしくは標準化学療法(治験責任医師がドセタキセル又はVinflunine*を選択)を投与し評価するコホート1と、PD-1/PD-L1阻害剤を含まない1ラインの治療後に病勢進行した患者さんに対してバルバーサ®もしくはペムブロリズマブを投与し評価するコホート2から構成されています。
コホート1における主要評価項目はOSであり、副次評価項目は、無増悪生存期間、奏効率、奏効期間、患者報告アウトカム、安全性、薬物動態です。解析の結果、バルバーサ®群が化学療法群よりも主要評価項目であるOSを統計学的に有意に延長し、予め規定された中間解析データカットオフ時点で、OS中央値は化学療法群が7.8カ月(95%信頼区間:6.5-11.1)であったのに対し、バルバーサ®群は12.1カ月(95%信頼区間:10.3-16.4)でした1。これは、バルバーサ®群は化学療法群に比べ、死亡リスクが36%低下していることを示します(ハザード比、0.64 95%信頼区間:0.47-0.88、p=0.005)1。
この中間解析の結果に基づき、独立データモニタリング委員会は試験を中止し、化学療法群に無作為に割り付けられた患者さんにバルバーサ®へのクロスオーバーの機会を提供するよう勧告しました1。本試験で観察されたバルバーサ®の安全性プロファイルは、これまでに報告された転移性尿路上皮がんにおけるバルバーサ®の安全性プロファイルと一貫していました1,4。
*Vinflunineは、日本国内において未承認です。
バルバーサ®について
バルバーサ®は、1日1回経口投与のFGFR阻害剤です。2024年1月、米国食品医薬品局(FDA)は、少なくとも1ライン以上の全身療法を実施中もしくは実施後に病勢進行した、FGFR3遺伝子異常を有する、成人の局所進行性又は転移性尿路上皮がんに対する治療薬としてバルバーサ®を承認しました。また、2024年8月、欧州委員会は、PD-1/PD-L1阻害剤を含む治療後のFGFR3遺伝子異常を有する成人の根治切除不能又は転移性尿路上皮がんに対する単剤療法としてバルバーサ®を承認しました。
なお2008年、Janssen Pharmaceutica NVはAstex Pharmaceuticalsとバルバーサ®の開発及び販売に関し、全世界での独占的ライセンス契約を締結しています5。
尿路上皮がんについて
尿路上皮がんは、尿路(腎盂~尿道)に発生するがんであり、膀胱に最も多く認められます2。病理学的には、膀胱がんの90%以上が尿路上皮がん(移行上皮がん)であり、膀胱の最も内側にある内膜から発生します6。
転移性又は切除不能ながんは、尿路上皮がん全体の約20%、全膀胱がんの約5~8%を占めます。転移性の尿路上皮がんと診断された患者さんのうち、5人に1人は、FGFR遺伝子異常を有しています7,8。FGFRは受容体型チロシンキナーゼの一種で、さまざまなタイプのがんにおいて、遺伝子異常によって活性化され、これらの異常により腫瘍細胞の増殖と生存を増大させる可能性があります8,9,10,11,12。FGFR遺伝子変異はコンパニオン診断薬により検出することができます。
Johnson & Johnson について
Johnson & Johnson (ジョンソン・エンド・ジョンソン、J&J)は、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。私たちは、医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はinnovativemedicine.jnj.com/japan/をご覧ください。
将来に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、製品開発及びバルバーサ®の潜在的なベネフィット及び治療影響に関するものです。お読みの際には、これらの将来の見通しのみに依拠しないよう、ご注意ください。これらの記述は、将来の事象に関する現時点での予測に基づいています。
基礎となる前提が不正確であると判明した場合、あるいは既知もしくは未知のリスクや不確実性が現実化した場合、実際の成果は、Janssen Research & Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及び/又はジョンソン・エンド・ジョンソンの予測や見通しと大きく異なる可能性があります。
リスクと不確実性には、これらに限定されるものではありません。臨床的成功及び規制当局の承認取得の不確実性をはじめとする製品の研究開発に伴う課題や不確実性、商業的成功の不確実性、製造上の問題または遅延、競合他社による特許取得、新製品開発、特許に対する異議申し立て、製品回収又は規制当局による措置につながる可能性、製品の有効性又は安全性に関する懸念、ヘルスケア製品及びサービスの購入者の行動や支出パターンの変化、世界的な医療改革などの適用される法律や規制の変更、医療費抑制への動きなどが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
これらのリスクや不確実性、その他要因の詳細と一覧については、最新のForm10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の「将来予測に関する記述に関する注意事項(Cautionary Note Regarding Forward-Looking Statements)」、「リスク要因(Item 1A)」のセクション、またはジョンソン・エンド・ジョンソンの四半期報告書(From 10-Q)及び証券取引委員会へのその他の提出書類をご参照ください。
これら書類は、オンライン(www.sec.gov, www.jnj.com)でご覧いただくか、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソン宛てにご請求ください。Janssen Research and Development, LLC、Janssen Biotech, Inc.、ヤンセンファーマ株式会社及びジョンソン・エンド・ジョンソンは、新たな情報や今後の事象・変化などに基づいて、将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。
参考文献
1 Loriot Y, et al. Phase 3 THOR study: Results of erdafitinib (erda) versus chemotherapy (chemo) in patients (pts) with advanced or metastatic urothelial cancer (mUC) with select fibroblast growth factor receptor alterations (FGFRalt). J Clin Oncol 2023;41(17). Available at: https://doi.org/10.1200/JCO.2023.41.17_suppl.LBA4619. Accessed November 2024.
2 American Cancer Society. “What is Bladder Cancer.” Available at https://www.cancer.org/cancer/bladder-cancer/about/what-is-bladder-cancer.html. Accessed June 2025.
3 国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/bladder/patients.html
Accessed June 2025.
4 Loriot Y, et al. Erdafitinib in Locally Advanced or Metastatic Urothelial Carcinoma. N Engl J Med 2019; 381(4):338-348.
5 Astex Therapeutics Limited. Astex Announces New Drug Discovery Alliance with Janssen Pharmaceutica N.V. 2008. Available at: https://astx.com/wp-content/uploads/2016/11/ASTX_News_2008_6_9_General_Releases.pdf. Accessed June 2025.
6 National Cancer Institute. “Bladder Cancer Treatment (PDQ®)–Health Professional Version”. Available at https://www.cancer.gov/types/bladder/hp/bladder-treatment-pdq#link/_21_toc. Accessed June 2025.
7 Tomlinson DC et al. FGFR3 protein expression and its relationship to mutation status and prognostic variables in bladder cancer. J Pathol. 2007;213(1):91-98.
8 De Santis M et al. Randomized phase II/III trial assessing gemcitabine/carboplatin and methotrexate/carboplatin/vinblastine in patients with advanced urothelial cancer who are unfit for cisplatin-based chemotherapy: EORTC study 30986. J Clin Oncol. 2011;30:191-199.
9 Helsten T et al. The FGFR landscape in cancer: analysis of 4,853 tumors by next-generation sequencing. Clin Cancer Res. 2015;22(1):259-267.
10 Eisenhauer EA et al. New response evaluation criteria in solid tumours: revised RECIST guideline (version 1.1). Eur J Cancer. 2009. 45: 228-247.
11 Janssen Pharmaceuticals, Inc. Data on file.
12 U.S. and World Population Clock. Available at https://www.census.gov/popclock/.Accessed June 2025.
プレスリリースPDF
https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M108680/202507152184/_prw_PR1fl_lP3xC81x.pdf
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