匠の蔵~words of meister~の放送

南国食楽Zu【料理 沖縄】 匠:宮城正明さん
2014年01月18日(土)オンエア
宮古島の食材を生かしたジャムやケーキ、パテや調味料などを製造する『南国食楽Zu』の代表、宮城正明さん。食品加工ではなく『料理』をモットーに、食材がもつ本来の旨味を追及。そのすべての商品は、職人の手により独自のレシピと視点で開発されている。
「料理人として働いていたホテルを定年した後、平成4年に妻の故郷である宮古島に移住し、『レストランZu』をオープンさせました。すると料理と一緒にお出ししていたパテやジャムを持って帰りたいというお客様が増え、レジの横に置いて販売するようになったんですよね。その後、宮古島の食材を生かして何かできないかという声に応え、平成19年に加工一本に絞ることを決意したという訳です。『Zu(ズゥ)』というのは宮古島の方言で、『行こう、しよう、始めよう』という意味で、宮古島への想いと、宮古島から新しいことを始めてみようという想いから名づけました」。マンゴーや紫イモ、ゴーヤーなど、その宮古島で調達された食材は、宮城さんの手によって姿形を変え、いまや全国の人々から愛されている。
「基本はいかに相手を儲けさせるかですよね。僕の代わりに食材を生産し、そして、加工した商品を販売してくれる人たちが笑顔になってくれる、島の人たちに恩返しできるような商売を心がけています」。そんな宮城さんは、「自然の食材を加工する以上、100%の人から美味しいと言われる商品を作るのは神の領域だが、80%の人から美味しいと言われる商品を作るのは努力の領域」だと断言。酸味と苦味、そして甘味が絶妙な『ゴーヤージャム』などは、その言葉通り、物産展などで試食をしてもらうと10人中7〜8人は買い求めていくという。
「僕は商品が完成しても満足したことはないですよね。ですから完成後も目に見えない部分で、常に改良を重ねています。変えるのではなく、その商品の中で美味しくするということですよね。お客様も美味しくなる分には構わないじゃないですか。例えばマンゴーをケーキに使う場合にピューレをしますよね。そして、次は殺菌をしないといけませんから火を入れますよね。その時に、敢えて水分を飛ばし過ぎずにドライフルーツのようにしてみたら、さらに風味が増すのではないだろうかとか。それは確かに終わりがなく、手間暇がかかることですけど、楽しみがあるんですよね。お客様から『美味しい』と言われるという最高の楽しみが」。食品は毎回美味しくても、たった1回美味しくなかったら次はないという。数多くのユニークでバラエティ溢れる商品を手掛けている宮城さんだが、最もこだわっている点は、食材はもちろん、その味にある。
「『南国食楽Zu』の商品は、すべてレストランの調理場のような雰囲気の中で作っています。そして、僕は従業員に、この場所はリングだよって教えるんですよ。勝つか負けるか。やはり負けた時は悔しいし、勝った時は嬉しいですよね。ですから美味しい商品を作ることができるかどうかは、自分自身との戦いだと思っています」。そんな宮城さんの座右の銘は『感謝』。島に畑に人に感謝しながら、宮城さんは今日も戦い続けていることだろう。

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