沖縄のブランド鶏「石垣黒鶏」を生産、提供する専門店「石垣黒鶏の店 うるずんの風」の代表、新城師忠さん。「石垣黒鶏」は、フランス農務省が厳しい品質基準や生産条件を満たした農畜産物に貼付許可を与えるラベル・ルージュ(赤ラベル)に指定された世界が認める鶏の品種、プレノワール種を、石垣島の豊かな自然と風土の中で、厳選した飼料のみを与えられ育てられた高品質鶏肉。味が濃く、柔らかくジューシー、さらに、パリパリの皮とまろやかな香りが特徴で、現在では沖縄本島のリゾートホテルや外資系のホテル、東京都内の飲食店にも出荷されているという。「以前は、東京で物産の仕事に携わっていたのですが、その頃、関西のとある飲食店で、このプレノアール種の美味しさに愕然としたんですよね。そして、豊かな自然の残る故郷の石垣島で、この鶏をブランドとして育ててみたいという想いが募り、現在に至ったという訳です」。そんな「石垣黒鶏」の育て方には、様々な工夫を凝らしているという。「石垣黒鶏には、風化サンゴと炭でろ過し、有用微生物であるEM菌を添加させた活性水と、亜熱帯で育ったキャッサバ、果実、自家製魚粉、米ぬか、機能性野菜などを与えています。また、ゆか床の木屑はEM菌が発酵し、絶えず熱を持ちふかふかとしていて清潔で悪臭がまったくないんですよね」。そうして、雄は120日、雌は140日、開放平飼いで、ゆっくりと成育させた「石垣黒鶏」は、病気に対する抵抗力が強く、抗生物質などはまったく必要としない。「やはり自然に近い形で育てるのが一番、最良の方法だと思っています。今は牛にしても鶏にしても、霜降りをつけようと必要以上に餌を与え、体を動かさないように育てます。また、鶏の卵にしても一日中、電気をつけて休まずに産ませようとしていますよね。それでは、やはり本当に安心、安全で美味しいモノは出来ないと思うんですよ。自然環境を壊さないように、自然に感謝しながら、限りなく自然に近い形で鶏を育てる。そうして育てられた健康な鶏は、必ず多くの人が評価してくれると信じています」。自然に育てるというのは、決して、無責任に自然に委ねるということではない。そこには不自然に手を加える以上の工夫と技術が必要とされる。そんな数々の困難を克服し、「石垣黒鶏」を沖縄のブランド鶏として確立させた新城さん。現在は「石垣黒鶏」を多くの人に味わって欲しいと、「石垣黒鶏」を使った様々な料理開発にも力を入れていというから楽しみだ。
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