匠の蔵~words of meister~の放送

銀のすぷーん【洋菓子店 福岡】 匠:濱田哲さん
2011年02月12日(土)オンエア
筑後地域で採れたフルーツなどの農産物を使った商品開発に力を注ぐ洋菓子店「銀のすぷーん」の社長・濱田哲さん。チョコレートプリンに地元の牧場の牛乳を使うなど、1977年9月に久留米市に開店して以来、洋菓子店ながら地産地消の取り組みを積極的に行う。「地元の久留米で一生懸命に農産物を作っている方と、一緒にモノ作りをしたいという想いでお菓子を製造・販売しています。それは決して、ただ久留米だからという理由ではありません」。地元で頑張っている人たちの応援団でありたい。そして、そんな頑張っている地元の人たちと共に歩んでいきたいと願う濱田さん。一つ一つ丁寧に手造りされるそのお菓子造りの信条は、徹底した味と素材へのこだわりにある。「両親が薬剤師という仕事柄、体に悪いモノを使いたくないという想いで店をオープンさせました。そうすると自然に地産地消へとたどり着いたという訳です。お客さんは買うプロですから、そうした良い素材を使ったお菓子をサラッと見極めて買っていきますからね」。そんな濱田さんには、お菓子造りの師匠から頂いた大切な言葉があると言う。「私たちは、『味は作るな迎えに行け』という言葉を胸に、日々、お菓子に向き合っています。正直、お菓子屋の技術など、たいしたモノではありません。3年ぐらい修行をすれば誰でも習得出来るものなんです。お菓子造りで一番難しいのは、その技術の先にある、素材とどれだけ向き合うことが出来るか、ということだと思っています。私たちは美味しい素材を簡単に不味くすることは出来ます。しかし、不味い素材を美味しくすることはとても出来ません。自分の技術で不味いモノを美味しく作れるなどと天狗にならず、三顧の礼をして良い素材を集め、その良い素材の声を聞き、味を迎えに行くことが大事だと思うんですよね」。濱田さんは常日頃から生産者の元へと何度も足を運び、コミュニケーションをとりながら良い素材を集めているという。そうして集められた素材の声を聞き、素材の魅力を最大限に引き出したお菓子を作り続ける濱田さん。地産地消を追求した、そんな「銀のすぷーん」のお菓子には、素材を作る人たちの想いまでもが込められている。「私たちの会社の新入社員はジャム造りの仕事から入ります。それは素材の声を聞くことが出来るようになって欲しいと思うからなんですよね。果物を煮詰める過程で、火を止める瞬間というのは、素材の声に耳を澄まさなければなりません。謙虚に耳を澄ますことが出来た瞬間に、お菓子造り職人として進化していくものだと思っています」。お菓子造りは「人を楽しませる、幸せにする仕事」と、自らの仕事に喜びを感じ、「久留米を美味しいモノで埋め尽くし、楽しい街にしたい」と夢を語る濱田さん。その「銀のすぷーん」のお菓子の味は、人を笑顔に、優しくさせるものだった。

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