匠の蔵~words of meister~の放送

松田ギターチタン【ギター製造 沖縄】 匠:松田祐信さん
2015年04月11日(土)オンエア
オーダーメイドによって革新的なギターを製造する『松田ギターチタン』の松田祐信さん。地元で看板屋を営みながら趣味でギターを弾いていた松田さんは、より良い音のギターで演奏したいという思いから、これまで250本以上の既製品のギターを購入。しかし、どれも納得できずに、遂に自ら製造することを決意。長年、試行錯誤を繰り返し、ギターの背面板を木からチタンに変えることにより音量を大きくすることに成功。さらに音を豊かに響かせる構造も開発し、ギターの音質を劇的に向上させたという。
「僕が目指したのは自分で弾いていて気持ちいい音なんですよ。これまで何百本ものギターを試してみたけど音量が小さい、他の楽器に比べて倍音が少ないなど、どうしても納得できなかったんです。それなら自分で作ってみようと。そこで、まずギターの材質に注目して、木だけではなく様々な金属を試してみたんですが、その中で出会ったのがチタンだったんですよね。チタンを貼り付けた時、本当にクリアな音が大きく響いて、コレだ!と。もちろんそれから改良を重ねましたが、フォークギターで3〜4倍、クラシックギターで2倍の音量が出るようになりました。また従来のギターの構造では、弦に引っ張られて前面板に約60Kgも圧力がかかっていることを知って、僕はその圧力を取り除いて、前面板を豊かに響かせようとしたんですよ。そうして辿り着いた、弦のブリッジを独立させることによって圧力をなくす構造は『ギター表面板の振動促進構造』という名称で特許も取っています」。純粋な音色を追求し、誕生から200年間、変わることのなかったギターを進化させた松田さんのその革新的なギターは、今、多くのプロミュージシャンからも注目されているという。
「素晴らしい演奏をするプロのミュージシャンはたくさんいるんですが、これまでのギターは演奏技術に楽器が追いついていないという状況だったんですよ。例えばジャズなどで速弾きしますよね。すごく速いテンポでギターを弾くと、その速さに音がついて来ないんです。手が動いてから音がついてくるので反応が遅いんですよね。特にフラメンコギターなどを弾くと、本来は一音一音、音が出るべきなんですが、出ないなんですよね。すべての音がゴチャ混ぜになってボワンと出てくるので面白くないんです。ただ私のギターは一音一音がキチっと出ますので、プロも注目するんです。ですからクラシックやフラメンコなどジャンルによって、普通はギターを使い分けるんですが、僕のギターで演奏する場合、ジャンルで分ける必要がないんですよ」。松田さんのギターは音量を大きくしようが、アンプに通そうが、音が劣化することなく、聴く人の耳に心地よく響くという。そんな人の演奏を邪魔せずに、ありのままの音を奏でる技術を追求した松田さんギターは、これからの時代のスタンダートとなると思わせる音色を響かせていた。
「バイオリンには『ストラディバリウス』というすごく良い音を奏でる名器があるんですが、そのような名器がギターにはないんですよ。僕はそれを作ったということなんですね」。そう語る松田さんの自宅の一室には、2階まで突き抜ける巨大スピーカーと、以前取材させて頂いた『知名御多出横』の150万円もするというアンプが何台も鎮座。松田さんはそんな環境で普段から音楽鑑賞を楽しんでいるという。
「私はクラシックを中心に音楽鑑賞が大好きなのですが、その為に自宅を改造し、最高のオーディオ設備を完備したんですよ。そして、そんなオーディオで音楽を大音量で聴いていると、音の違いが如実に分かるんですよね。だから納得できないものはできないと、どこまでも音を追求してしまうんです。今後、僕のギターが全世界に広がっていけばいいな〜と思ってますけどね」。そんな松田さんの座右の銘は『あきらめない』というシンプルな言葉。どこまでもあきらめずに進化し続ける松田さんのギターが、全世界を席巻する日も近い。

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