匠の蔵~words of meister~の放送

やふそ紅型工房【紅型 沖縄】 匠:屋富祖幸子さん
2013年02月16日(土)オンエア
沖縄の伝統工芸『紅型』の技術を受け継ぐ『やふそ紅型工房』の屋富祖幸子さん。『紅型』は琉球舞踊の打掛に見られる大胆な構図と鮮やかな色使いが特徴の染色で、屋富祖さんは積極的に『紅型教室』を開く傍ら、『生活の中にある伝統工芸』をモットーに、日傘や琉球絣、漆器を染めるなど、『紅型』を生活の中に取り入れた、様々な新しい商品も開発している。「もともと絵が大好きだったのですが、『紅型』の世界に入ったきっかけは、中学生の頃、『紅型』が好きな先生に出会い、強烈な沖縄の太陽の下で映える、その力強い色彩に魅了されたことなんですよね。琉球王朝時代に形づくられた『紅型』は、様々な染色の中では珍しく顔料を使って染色するため、立体的に染め上がり、独特な美しさがあるんですよ」。そんな『紅型』はとても間口が広く、色彩の美しさに魅了されて気軽に絵を描くような感覚で始めてみると、その奥深さにはまり、さらにのめり込んでいく人が多いという。そうして現在は、本土の人も含めて約150人に『紅型』の技術を教えている屋富祖さん。その教えの基本には伝統を大事にして欲しいという想いがあるという。「『紅型』には基本となる古典的な色がありますので、その色をしっかりと頭の中に入れてからでないと新しい感覚のオリジナルの作品は作れないんですよ。ですから教室では、伝統的な基礎を学んだ上で、次のモノに展開するように教えています。伝統をまったく学ばずに新しい感覚だけで作ってしまえば、何ら他の染物と違わなくなってしまいますからね」。『温故知新』という言葉もあるが、やはり大事なことは、それが伝統工芸である以上、どんな伝統の上に立っているのかをキチンと知るということ。先人たちが残してきた伝統と共に歩む『紅型』は、どんな姿や形に変わっても『紅型』であり続ける。「もちろん若い人たちには、どんどん『紅型』を発展させて欲しいのですが、やはり基本は大事にしてね。それは先人たちが、しっかりとした形で歴史を積みながら守ってきたモノですからね。伝統を崩すのではなく、伝統を上手く使って、さらに新しいモノを作っていって欲しいと思っています」。現在、沖縄には14もの伝統工芸があり、その内12は染と織の分野だという。屋富祖さんは、そうした様々なジャンルの伝統工芸の技術を受け継ぐ沖縄の人々と、活発に情報交換を行い、『紅型』の新たな可能性を探っているという。「今は布製品だけではなく革製品にも『紅型』を施したいと考えているところなんですよ。ゆくゆくは『紅型』のバッグを持ったモデルが、パリコレで颯爽と歩く姿を見るのが夢ですね」。そう語る屋富祖さんの眼差しは、眩い沖縄の日差しのように輝いていた。

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