匠の蔵~words of meister~の放送

けいはん ひさ倉 [郷土料理 鹿児島] 匠:久倉茂勝さん
2008年02月23日(土)オンエア
ご飯の上に鶏のささ身、錦糸卵、椎茸、海苔など数種類の具を乗せ、熱い地鶏スープをかけて食べる奄美大島を代表する郷土料理「鶏飯」。江戸時代に薩摩の役人をもてなす為に生まれた背景から「殿様料理」とも呼ばれていた「鶏飯」は、鶏肉の炊き込み料理のようなモノだったのが、戦後、もっとあっさりとしたものをと工夫され、今の形に姿を変えたそうだ。そんな「鶏飯」の専門店「けいはん ひさ倉」の社長・久倉茂勝さんは、元々、大島紬の機織職人としてこれまでにない柄を生み出すなど活躍していたが、先細りしていく大島紬の将来を憂い、この店を立ち上げたそうだ。「大島紬も鶏飯も、両方とも奄美のモノだし、奄美出身の自分としては、どうせ何かをやるなら奄美のモノをと思って転職したんです。鶏飯は学校給食でも出される位、奄美ではポピュラーなモノなので、昔、子供の頃に親しんだ味を出せれば勝負出来ると思ったんですよね」。そんな久倉さんの作る鶏飯は、濃厚なスープの旨みとコクが特徴的ながら、臭みが全く無く、あっさりとしているので何杯でもおかわりしたくなる。「今、三千羽以上の鶏をすべて放し飼いで飼っています。放し飼いで育てた鶏は、何時間煮てもスープが濁らないんですよね。放し飼いにする事は、何も特別な事じゃなくて、昔は皆そうしていましたから」。そんな久倉さんのお店は、今や奄美大島の観光コースに組み込まれ、地元・奄美の人からも推薦される程、繁盛している。「観光客に来て貰う為には、行政まかせでは駄目です。観光、観光と口先だけじゃなくて、私は日本全国を周って旅行業者にアタックしました。そうして、奄美大島に来て貰って、奄美大島の良さを知って貰えれば、それが口コミで広がって行くと思うんです。何事もやっぱり行動です」。せっかくオリジナルの文化や料理があるんだから、頭でイロイロこねくりまわすんじゃなく、行動する。ぶつかっていく。奄美の自然と同様にダイナミックながらもコクのある久倉さんには、ある人物が言った好きな言葉があると言う。「私は田中総理大臣が言った、僕は学歴はないけど、学問はあるという言葉が好きなんです。私もその精神で頑張っています」。

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