匠の蔵~words of meister~の放送

平助筆 復古堂【筑紫筆 福岡】 匠:河原田浩さん
2009年04月18日(土)オンエア
室町時代後期、1501年に博多の筆「筑紫筆」作りの名人・河原田五郎平衛が創業した、日本一古い筆の店「平助筆 復古堂」の河原田浩さん。江戸時代には黒田藩の御用筆、明治から昭和にかけては宮内庁御用達として皇室にも献上されたという筆を今に受け継ぐ。「復古堂の名前は、福岡藩主の黒田斉隆公から頂いたものです。また、平助筆とは明治時代に筑紫筆の模造品が氾濫した為、九代目の平助が、ヨーロッパから入ってきたばかりの写真技術を用い、柄に写真を入れた筆を指します。以来、その平助筆は多くのお客様に愛され、河原田家の当主は、平助を名乗るようになりました」。平助筆の特徴はすべて手工芸で、使用材料の目利きは勿論、脱穂や軸割れを防ぐ特殊な技術が駆使されているところにある。「手紙の文化が薄れ、筆の店としては大変厳しい今の時代ですが、パソコンでも毛筆体がもてはやされているように、筆の文化が途絶えることはありません」と、昔と変わらず、良い筆をつくることだけに全神経を注ぐ河原田さん。その筆の最大の魅力は、「筆は気持ちを伝える筆記具であること」だと言う。「少し墨が手に当たって滲んだり汚れたり…そういう部分も、この人は夜中に書いたのだろうか、忙しい合間に書いたのだろうかと、想像させてくれますよね。また、字が思い出せない時は国語辞典を引いたりしますので、少し時間はかかりますが勉強にもなります。そして一番は、そのように手間隙をかけて書いていると、こういう事も書きたいなとか、より気持が伝わる文章を思いつくことがあるんですよね。ですから、私は出来るだけ筆で手紙を書くように務めております」。メールは早いし安いし簡単だ。しかし、自分で書いた文字は、たとえヘタでも何倍も多くの気持ちを伝えてくれる。それには、どんな絵文字も敵わない。「別に筆でなくても出来るだけ手書きで書いて頂ければ、違う自分自身が見つけられると思います」。華やかな飲食店が建ち並ぶ繁華街の一角…春吉橋の袂にある日本一古い筆の店「平助筆 復古堂」。どんなに街の景色が移り変わろうとも、人々の気持ちを伝える支えとしてあり続けるだろう事だろう。

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