匠の蔵~words of meister~の放送

木彫製作 彫美堂【籠彫り 熊本】 匠:徳永政男さん
2009年05月02日(土)オンエア
卓越した技術で、日本間の襖や障子の引戸の上にある欄間を製作する「木彫彫刻 彫美堂」の欄間彫刻家・徳永政男さん。厚さ7〜12cmの板を立体的に削る「籠彫り」を手掛ける事が出来るのは、九州でも徳永さんのみだと言われ、クスノキやケヤキ、屋久杉など木目が均一の板を数百本のノミで削り、数ヶ月もかけて彫られる松や竹は存在感を放ち、鶴や亀は今にも動き出しそう。「欄間は建築の装飾物ですから、リアルに写実的に、そして彫りが生きているようにと心掛けて彫っています。特に欄間彫刻は家の中にあるものですから、綺麗に彫らないといけないと思います。これが私の信条ですね」。そんな欄間彫刻は、室町時代以降、武家屋敷に広まったものが、明治中期に一般庶民の家にも普及し始めたとされるが、現在では外国産の欄間も輸入されるようになり、他の伝統工芸と同じく、後継者問題で悩まされている。「私が思うのは、良い彫刻をたくさん残す事が大事だという事です。そうすれば若い人が見て、『これを作ってみたい』と思って、頑張ると思うんですよね。確かに今は後継者がいないのですが、将来出て来る事を願って、良い作品を残していこうと思ってやっている訳です」。口で色々言うより、作ったモノが多くを語り、人の心を動かす。職人の仕事とは、そういうモノなのだろう。「職人の仕事は、ある意味芸術だと思います。例えば、あのミケランジェロも、自分は職人だと思っているんですよね。しかし、ミケランジェロは芸術家なんですよ。ですから私は、自分の事を職人だと思っています。そして、職人として最高の仕事をしようと思っています。その仕事が良かったら芸術作品という事だろうと思いますけどね」。今年で70歳を迎えたという徳永さん、その職人技は衰える事なくさらに冴えわたり、今日も芸術的な作品を生み続けている。

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