匠の蔵~words of meister~の放送

千寿庵 長崎屋【老舗和菓子屋 長崎】 匠:井上昌一さん
2011年05月07日(土)オンエア
カステラなどと並ぶ伝統ある長崎の南蛮菓子・有平糖を製造する昭和4年創業の老舗和菓子屋「千寿庵 長崎屋」の3代目、井上昌一さん。有平糖は砂糖に飴を加えて煮詰め、冷やして丸形・板状・棒形など様々な形に加工した日本最初のハードキャンディーとも言える南蛮菓子で、茶道の工芸菓子として美術的な技術が加えられている。「有平糖は長崎に伝わり、長崎から全国に広まった伝統ある南蛮菓子なのですが、カステラなどと違い地元の人でも知らない人が数多くいます。それを少しでも多くの人に知ってもらいたいと願い、日々努力しています」。そんな井上さんは、「長崎さるく」で町歩きを楽しくする為に設けられている「さるく見聞館」の一つ「有平糖見聞館」として店を公開。有平糖の歴史、製造行程、道具などを展示する。「有平糖の出来上がりを決めるのは、砂糖と飴の煮詰め加減にあります。固すぎても柔らかすぎてもダメで、その見極めが難しいですね」。伝統的な有平糖と創作の有平糖が混在し、節句や結婚式などのお祝い事に欠かせない和菓子として親しまれている有平糖。しかし、そのどちらにも共通するのは、美しい見た目にある。「昔から家具やインテリアなど、和菓子でなくとも見た目が綺麗なモノが好きなんですよね。ですから僕は和菓子をもっと魅せるモノ、お洒落なモノにしたいと日々考えています。当然、和菓子ですから味も大事ですが、和菓子は人を楽しくワクワクさせるものですから、僕はどちらかというと見た目を重視しているかも知れませんね」。質実剛健、中身で勝負とか言うと、見た目の美しさから逃げる言い訳にもなる。もちろん味も大事、しかし、見た目も大事と、言い訳せずに欲張る井上さんの作る和菓子は、食べるのが勿体ないほど、美しく光輝いていた。

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