匠の蔵~words of meister~の放送

屋久島 ネイチャーガイド [鹿児島 屋久島ガイド] 匠:大野睦さん
2006年04月29日(土)オンエア
日本有数のウミガメの産卵地としても知られる、世界遺産の島・屋久島。ここ屋久島に、およそ10年前に単身移住し、「ウミガメの産卵見学ツアー」を始めたネイチャーガイド、大野睦さんは、ウミガメの産卵地が減少している中、その現状と日本の自然の素晴らしさを伝えている。大野さんは、どんな想いで屋久島の自然を我々に紹介しているのだろうか。「この屋久島に来たご年配のお客様方がよく言うのは、あったのよね、こういう所がウチの周りにも。その言葉なんですよ。都会はその距離に関係なく、自然がドンドン失われてしまったけど、本来、自然はもっと身近にあるべきものだと思うんです。今の世の中、自然は凄くおごそかに守るものとか、そんな事しちゃいけない、あんな事しちゃいけないって、いけない事ばっかり言っているけど、そうでは無く、自然はもっと身近にあるんだって事を感じてもらえれば、どう守っていけばいいのか、どうしたらいいのか、それぞれ見えてくると思うんです。自然は皆のものだっていう事を一緒に思って欲しいな〜って」。そんな大野さんだが、「沢山の人を連れて行くツアーは、ウミガメの保護に繋がらないのではないか?という印象持たれる事がある。」という話をしてくれた。それでも大野さんが、このツアーを続ける理由には、ネイチャーガイドとしての信念があった。「人もそうなんですけど、出会って、お名前を聞いて、少し会話をして…、知り合ってからその少しだけでも、知らなかった時より、その人に対して間違いなく優しくなれますよね。それは自然や動物に対しても一緒だと思うんです。私はカメを本当に中心に紹介していますけど、ウミガメの事を知ってくれれば、その人達は間違いなくウミガメに対して、優しい気持ちが、もう生まれているんですよ。その気持ちが一番大事だと思うから、それは知ってもらわない事には始まらないので、まずは知ってもらって一緒に考えてくれたら絶対、皆優しくなれてるんです。その気持ちを増やす事が一番大事かなと思うんです。」まず相手を知ろうとすることが優しくなる第一歩。ウミガメにも人にも…自然でも都会でも、その流儀は同じだ。屋久島の自然の中で聞いた匠の言葉は、太古の昔から人が関わってきた自然との絆を感じさせてくれた。

| 前のページ |


| 前のページ |