匠の蔵~words of meister~の放送

中津からあげ もり山【中津からあげ 大分】 匠:森山浩二さん
2013年04月06日(土)オンエア
全国的ブームの『中津からあげ』の専門店『中津からあげ もり山』の代表、森山浩二さん。昭和45年に叔父が始めた店を9年前に受け継ぎ、現在は九州一円のみならず東京、大阪など全国で18店舗を展開。『中津からあげ』の名を全国的に広めた立役者として知られている。「昔から養鶏場の多かった中津には『からあげ』の文化が根付いています。現在でも専門店が50店舗くらいはあるのではないでしょうか」。そんな競合店がひしめく中津の地で、森山さんの店では塩ベースにショウガや数種類の調味料、そして自家製栽培にんにく使った秘伝のタレに漬けた『からあげ』で勝負する。「一般的に『からあげ』は醤油ベースのタレに漬けて揚げる店が多いのですが、私の店では昔から上質な国産生肉がもつ鶏本来の旨味を楽しんで欲しいと、塩ベースのタレを使用しています。塩はごまかしが効かず、素材の違いがシンプルに表れますから、仕入れる鶏やタレの材料にも嘘をつけないんですよね」。100%国内産の鶏を仕入れ、化学調味料を一切使わないで『からあげ』を揚げる森山さん。その香ばしい衣と弾力のあるジューシーな肉が特徴の『からあげ』は、一度食べれば誰しもの記憶に残る。「素材や原材料に徹底的にこだわらずとも『からあげ』の場合は、味付けで何とかなる部分はあるのですが、それでは本物ではないような気がするんですよ。金儲けに成功したからといって、それが成功なのかといったら、やはり違うと思うし。私たちが商売をしていて、何が一番うれしいかというと、お客さんから『ありがとう』って言われることなんですよね。私たちがお金を頂くわけですから、普通は逆ですよね。それでも私たちが『ありがとうございます』って言うんと、反対に『ありがとう、美味しかったよ』と返してくれる。こんなに有難いことはないですよね。そして、そういう風に喜んでしてくれている人たちに対して、ごまかしたモノを出すっていうことは出来ないですよね」。森山さんの店では『からあげ』を揚げ置きせず、必ず前日に仕込んだ鶏を揚げるという。いくらブームになろうとも、効率を求めず、味をごまかさず...そうして森山さんは厨房に立ち続ける。『からあげ』が故郷、中津を代表する味だという誇りを胸に。「『中津からあげ』が有名になったのと同時に、周囲から常に見られているという雰囲気がありますので、逆に私自身も周りを意識して商売をしています。よく言われる昔ながらの頑固というのも良いとは思うんのですが、それが果たして絶対的に良いのかというと、そうでもないと思うんですよね。ですから他所の店の良い部分は柔軟に取り入れながら、ブレない部分を一つだけ持っておく。それが大事だと思うんですよね」。森山さんが頑固にこだわるのは、自らのやり方に固執することではなく、より多くの客を喜ばせること。頑固でなくてはならない部分と、頑固でなくても良い部分を知る森山さんの店が、いまや日本全国の人々の口を喜ばせている理由は、そんな森山さんの、ある意味頑固な柔軟性にあった。「『中津からあげ』の店をやっていく中で、地域に対してある程度、貢献できたかな〜という気持ちがあるわけなんですよね。『からあげ』といえば大分県中津市という街があったよな〜というぐらいまで、いま来ていると思うんですよね。ですから私たちの最終目標は、香川の『うどん県』のように、『大分県からあげ市』となるぐらいに行こうと...いま気合を入れてるところです」。

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