匠の蔵~words of meister~の放送

辻絵の具店 [佐賀 絵の具] 匠:辻昇楽さん
2007年04月28日(土)オンエア
有田焼の町として知られる、佐賀は有田の赤絵町。ここは江戸時代に「赤絵屋」と呼ばれる、絵の具の製造から赤絵付けまでを行うプロ集団が集められた場所だが、今では、「辻絵の具店」など数件だけしか残ってないそうだ。赤絵とは、赤、青、黄、紫、緑とある五つの色を指すが、その中でも作成が最も難しいとされている色が、有田を代表する色と呼ばれている赤である。一子相伝とされる熟練の技術で、伝統ある有田の色を護っている「辻絵の具店」の八代目、辻昇楽は、色を護るという事は、継承するだけではないと言う。「材料など昔の調合表は確かに残っていますが、やはり、その代その代で工夫したり考えたりしなければなりません。と言うのは0?過去の絵の具が今使えるかどうか分からない訳ですよ。要求されなかったら、それがいらない訳ですから」。そんな辻さんは、色とは、とても儚いものだと言う。「儚いですね。一生懸命作った色でも、ニーズが無くなったら、それはもうお終いですよね。私自身、絵の具を伝統工芸品と思った事は無いし、やはり、色は焼物を作る為の素材ですからね。ですから、作家さん、窯元が要求する今の時代に合うものでないといけないと思うんです。また、我々はそれを応える為にいる訳ですから。例え伝統ある色であっても、先代を超える超えないっていう事ではない。内よりも外のお客様に対しての事なんです。例え伝統ある色であっても、その色を求める人がいなくては意味がない。あくまでも素材としての本質を理解し、奢ることなく、時代の声に耳を傾けている匠。そんな匠の精神が宿る有田の街からは、これからも時代を映す、新たな色が生み出されていく。

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