匠の蔵~words of meister~の放送

吉宗 [長崎 老舗料理屋] 匠:松尾正俊さん
2006年05月20日(土)オンエア
江戸末期から創業を続ける長崎の老舗料理屋「吉宗」。あと2年で創業150周年を迎えるこの店の看板料理は、大きな器になみなみと盛られた茶碗蒸。この茶碗蒸は長崎チャンポンと肩を並べる、長崎名物の味として親しまれているそうだ。そして、この「吉宗」で、昭和33年、およそ半世紀も前から料理人として腕を振るう料理長の松尾正俊さんは、伝統料理を守り続ける苦労を教えてくれた。「昔の茶碗蒸は美味しかったと、最近はチョットって言われる事があるんですけど、実際、出汁の昆布でも鰹節でもですね。前より相当、量を増やしてるんですよね。それだけ、昔以上に吟味して茶碗蒸を作っているんですけど、今のお客さんの口が肥えているもんやから大変ですね」。そんな松尾さんは、日々、味の追求を怠らない。「味はですね、美味しくする為に変えています。例えば、鰹節を夏場と冬場と変えたり、配合を変えたり、同じ鰹でも色々あるんです。口の肥えたお客さんの先を行かんといかんもんやからですね。お客さんから言われる前に手を打っていくんです。より以上のモノをと、やっぱ日々努力せんといかんと思っています」。50年やってもまだまだ努力を続ける匠。そんな松尾さんの座右の銘は、「鵬程万里(ほうていばんり)」。道程は遠い。料理の道は遠いという意味だそうだ。透き通るほど滑らかで旨い匠の茶碗蒸は、この先も更に美味くなって行くんだろう。

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